■障害者差別解消へ新たな一歩
障害を理由とした差別の解消に向け、4月1日に「久留米市障害を理由とする差別をなくす条例」を施行します。
平成30年1月に、障害のある人や支援団体を中心に「久留米市障害者差別禁止条例をつくる会」が結成されました。令和元年11月、同会から条例の制定について市議会に請願を提出。令和2年9月に採択されました。翌年、障害のある人や支援団体、行政機関や関連団体、有識者で作る「障害者差別解消支援地域協議会」で検討を始めました。協議会内に設置した、障害のある人を中心としたワーキンググループで計16回にわたって検討し、協議会を6回開催。市での検討を経て、令和5年12月に市議会で可決されました。
◇誰もが生活できる工夫を
条例は、障害や障害のある人への理解を促し、市や事業者、市民の責任と義務を明らかにし、差別のない地域を目指します。医療や教育など、分野別の禁止事項や、災害時の対応などを全24条で定めています。条例では、障害者支援施設への入所や医療受診を強制したり、賃金や労働時間などで不当に差別したりすることが禁止されます。
誰もが普通に生活できる社会をつくるには、日常生活にあるさまざまな障壁を取り除く「合理的配慮」が必要です。障害のない人を基準につくられた、施設の構造やサービスなどにある「当たり前」が、障害のある人にとっては、大きな妨げになることがあります。
さらに、事業者の合理的配慮の提供も義務化しています。条例が施行される4月1日には、改正障害者差別解消法も同じように義務になり、事業者の配慮を強く求めています。誰もが共に生活できる地域共生社会への新たな一歩です。
◇差別解消に向けた窓口を設置
差別があったと感じたら相談してください。本庁舎14階の障害者福祉課と市内4カ所の障害者基幹相談支援センターに窓口があります。身体障害者相談員・知的障害者相談員へ電話相談もできます。詳しくは市ホームページを確認してください。
■平等って何?
◇支援が平等
全員同じサービス
◇権利が平等
配慮されたサービス
※詳細は本紙P.8をご覧ください。
■合理的配慮の具体例
・文字を大きくしたり、漢字にふりがなを付けたりする
・案内する椅子の位置や形状を説明する
・商品の色や形状を具体的に伝える
・どの位置にどんな料理を置いたかを説明する
・難しい言葉を避け、ゆっくりはっきり説明する
・必要なサポートについて尋ねる
■誰もが当事者になり得る
古川克介さん
障害者の問題は全ての人に通じることを伝えたい、との思いから条例の制定に携わりました。事故や病気で誰もが当事者になり得るにも関わらず、多くの人がこの問題を他人事と考えています。「障害者になりたくない」と誰もが言います。自分はそうならないという確信があるからこその言葉なんです。「ああなりたくない」と思うのは、「ああなったらおしまいだ」という気持ちがあるから。そこに人間の差別性が隠れていることに気付いていない人がたくさんいます。
障害者と関わるのは専門職の仕事だと思われがちです。特に施設に入っている障害者は社会との関わりが遮断されています。その結果、話題にならない存在になることも。そうではなく、まず会ってみる、関わってみるなど自分なりの付き合い方を展開してほしい。さまざまな人と関わり、人間の幅を広げることが大切です。
さまざまな人権問題が課題とされている中、社会に求められているのは、人間らしい生活をどう担保していくのかということ。できる人がえらいのではなく、全ての人が暮らしやすい社会をつくっていくべきなのです。
◇「久留米市障害者差別禁止条例をつくる会」事務局長 古川克介さん
地域活動支援センターフロンティア代表。NPO法人自立生活センター久留米の理事長も務める
問い合わせ先:障害者福祉課
【電話】0942-30-9035
【FAX】0942-30-9752
<この記事についてアンケートにご協力ください。>