■誰もが生き生きと暮らせる地域へ
人との出会い・つながりは、私たちの人生に彩りを与え、より豊かなものにしてくれます。今回は、令和6年4月から矢部地区集落支援員※として活動されている仁田原(にたばる)一二三(ひふみ)さんにお話をうかがいました。
※集落支援員とは?
地域住民に寄り添い、市と連携しながら、みんなが暮らしやすい地域にしていくために活動する人です。
◇仁田原さんにとって矢部村はどんな場所でしょうか。
美しい自然環境と心あたたかい人々に囲まれた「宝の山」です。私は福岡市で生まれ育ち、24年前の結婚を機に矢部村へ引っ越してきました。結婚当初、近所の人が、私の手を握り「よーきなさった」と喜んでくださったことを今でも覚えています。
それでも、暮らし始めた頃は、不安だらけでした。近所に知り合いはおろか年齢が近い人もいなかったんです。妊娠して、保健指導に来られた保健師さんから、他の妊婦さんたちも同じ不安を抱えているという話を聞いて、ぜひ会いたいとお願いし、矢部村在住の妊婦同士で集まる場を用意していただきました。
その出会いをきっかけに、出産後には、子育てサークルを立ち上げました。子どもが大きくなったら親子みんなで遊べる場所が地域に欲しくて署名活動を行い、公園の整備や遊具の設置なども実現しました。当時一緒に活動した人たちとは、今もつながり続けています。
こうした経験は、子育て世代も子どもの人数も多くて、交流の場がいくらでもあるような都会では味わえなかったかもしれません。「無いならつくろう!」という行動力が湧いてきたのも、同じ思いを持つ仲間との出会いに恵まれたのも、矢部村という地域のおかげだと思っています。
◇ご自身も含め、地域のみんなが自分らしく生きるためにはどんなことが大切でしょうか。
今ここ(矢部村)で、わくわく楽しく生きている姿が自分らしいと思っています。
矢部村は高齢者が過半数を占める地域ですが、心身ともに元気な人が多いです。それでも、何か困りごとがあれば、まずはじっくりとお話を聞いて、みなさんが住み慣れた地域で安心して暮らせるための改善策を一緒に考えていきたいです。
私自身、交流を通して、生活の知恵や地域の歴史、また、地域の人たちとの出会いから支えあうことの大切さなどたくさんの学びがありました。昔、子どもの一歳の誕生日に、近所の人から手編みのわらじをいただいたことがあります。私はすごく驚き、感動しました。
人がそれぞれ持っている特技や魅力に、自分自身も周りも気づいていないことがあるのではないでしょうか。特に高齢者のみなさんは、長く生きてこられたからこそ培われた経験や知識、技術など、隠れた強みをたくさんお持ちだと思います。一人一人の強みを活かして、誰もが生き生きと暮らすことができる地域を目指していきたいです。
自分にできることを一つ一つ、笑顔を忘れずに行動に起こしてきた仁田原さん。
高齢化率が高く人口減少がつづく矢部地域で、一人一人が持つ強みや弱みを受け止め、考えが認められ、さらにつながりをもつことは、人権が大切にされる地域づくりにはかかせません。その人自身を認めるからこそ、自分らしくいられる社会(人権が守られる社会)へつながるのではないでしょうか。
■人権セミナー八女2024
演題:短編映画「明日、晴れますか」&制作者からのメッセージ
講師:学生団体OvertheRainbow
日時:11月2日(土)13時30分~15時
場所:おりなす八女はちひめホール
演題:生まれてきてくれてありがとう
講師:mon(子育てシンガー)
日時:11月27日(水)19時~20時30分
場所:おりなす八女はちひめホール
申込不要・無料・託児あり・手話通訳あり
詳細はチラシや八女市ホームページを参照ください。
問い合わせ:人権・同和政策・男女共同参画推進課
【電話】23-1490
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