◆~アイヌ民族から考える~ 一人ひとりの尊厳が大切にされる社会へ
みなさんは、アイヌ民族についてどれくらい知っていますか。
もともとは北海道だけではなく樺太(サハリン)・千島列島・東北地方北部に及ぶ広い範囲に居住していた民族です。人々は動植物・火・天候・道具にいたるまで全てを敬い、あらゆるものに魂が宿ると考え信仰していました。また、独自の言葉を話し、古式舞踊や木彫りの工芸など、豊かな自然の中で固有の文化を発展させてきました。「札幌・小樽・知床」などアイヌ語が由来の地名は、道内市町村名のうち実に約8割にものぼります。
しかし、中世に本州から和人が進出し、暮らしに大きな変化が起こりました。当初は自由で対等な交易を行っていましたが、江戸時代になると松前藩がアイヌと和人の土地を分割して両者の往来と交易を厳しく制限。次第にアイヌ民族に不利な取引を行うようになったのです。アイヌ側の不満は高まり、1669(寛文9)年シャクシャインを中心に蜂起しましたが、鎮圧され、アイヌに対する支配は一層強まりました。
さらに1869(明治2)年、明治政府は「蝦夷地(えぞち)」を「北海道」に改め、農地の開墾や鉄道・道路の建設など、開拓を進めていきました。アイヌの人々は土地や漁場を奪われたうえ伝統的な風習や文化も禁止され、明治政府の〝同化政策〟が進められていきます。
大正末期、現状に対する不満と民族としての自覚が高まり、1946(昭和21)年に北海道アイヌ協会が結成され、権利回復を求める運動が展開されました。
1997(平成9)年に「アイヌ文化振興法」(2019年廃止)、2019(平成31)年には「アイヌ施策推進法」が成立。アイヌ民族が先住民族であることが条文に明記され、令和に入るとアイヌ文化復興・創造などのナショナルセンターである「民族共生象徴空間」(通称ウポポイ)を開設。アイヌの人々が誇りを持って生活でき、その誇りが尊重される社会の実現に向けてさまざまな施策が推進されています。このように社会的機運の高まりがある一方、差別発言やテレビ・インターネット上での誹謗中傷など明確な差別意識によるものだけではなく、無知・無関心による差別行為が現在でも後を絶ちません。
年齢や性別・国籍・障がいの有無・性的指向などにかかわらず、一人ひとりの人権が尊重され、全ての市民が心豊かに暮らせる「いのち輝くまちこが」の実現に向け、古賀市はこれからも歩み続けます。自分のため、他者のため、すてきなまちづくりのため、一緒に考えてみませんか。
▽アイヌ民族の信仰〈カムイ〉
この世のあらゆるものに〈魂〉が宿っていると考えられました。なかでも、動物や植物など人間に自然の恵みを与えてくれるもの、火や水、生活用具など暮らしに欠かせないもの、天候など人間の力が及ばないものを〈カムイ〉として敬いました。
・「民族共生象徴空間」(ウポポイ)
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