■御先(みさき)(駈仙)
御先は神楽の中でも最もポピュラーで人気のある演目のひとつです。あまり神楽を知らない方でも神楽と言えば鬼と幣方(ひいかた。面をかぶっていない方)の組み合わせのイメージがある人も少なくないのではないでしょうか。
御先のストーリーは諸説ありますが、スタンダードなストーリーを簡単に分かりやすく説明します。
御先(鬼)は猿田彦之神(さるたひこのかみ)とも言われ、道祖伸(どうそしん)としても知られる神様。道祖伸は道案内の役割を担っています。
天照大御神(あまてらすのおおみかみ)の孫である邇々芸之命(ににぎのみこと)が天から地上へ降りて国を治めることになった。この時の従者のひとりが天鈿目之命(あめのうずめのみこと)で神楽では面を付けていない幣方です。
鬼の面をつけた猿田彦之神は道案内をするため、天の八衢(やちまた)で邇々芸之命を待っていた。
しかし、猿田彦のその顔の異形さ故、天鈿目之命は猿田彦を敵だと思い、戦いを始めてしまいます。そうこうしている内にやがて猿田彦が道案内役としてやってきた神だという事が分かり、誤解がとける。一行は肩を組合って仲直りをする。猿田彦が先頭となり、天孫降臨の道案内をする。実はこの仲直りを境に鬼の性質が変わってきます。もともと猿田彦(鬼)は荒神と同一視されており、悪霊と守護霊の両方の性質を持っています。仲直りの前では、猿田彦は悪霊の気が強く、仲直りの後では悪霊の性質が静められて守護霊の性質が強くなります。この時に猿田彦に抱っこされることで赤ちゃんの無病息災を祈る、と言われています。鬼がいつも持っている御杖(鬼が持っている紙切の房が付いた竹棒)にもパワーがあり、舞の中で、鬼が御杖を下に突く動作がよく見られますが、この動作は悪霊を封じ込める意味があるとか。また、頭上で御杖を回す動作は順調な五行の循環により、五穀豊穣、天下泰平、無病息災、子孫繁栄を祈るとされているそうです。
■神楽を見に行こう!
今年も吉富町内の数箇所で神楽が奉納されます。先人たちが大切に守ってきた地元の大切な歴史・文化である神楽をぜひ、実際に見て肌で感じてください。きっとその魅力に取りつかれることでしょう。
■京築神楽フォトコンテスト開催!
京築地域にある神楽をテーマに今年もフォトコンテストを開催します。
各地域で大切に伝えられてきた神楽の色んな魅力を写真に収め、ご応募ください。
入選者には、京築地域特産品をプレゼント!
期間:9月17日(火)〜12月12日(木)
テーマ:京築地域にある神楽
審査方法:2月開催の「京築神楽PR公演」の来場者による投票と審査員による審査
問合せ:神楽の里づくり推進協議会事務局
【電話】0930・56・0300(内線331)
≪神楽豆知識≫
〇面[めん]
演じる役に合せて鬼、姫、爺、婆など、特徴のある表情豊かな面がある。面にはそれぞれに神名がつけられており、面をつけることで、霊的な力が宿り、舞う人を守ってくれるという考え方がある。面は地元で彫られたものがかなりあり、基本的に能面などを参考に地元の有志が製作したと考えられる。先人より受け継がれている古面を所有する神楽講も多く、古いものは江戸期まで遡るといわれています。
〇鬼杖[おんづえ]
魔除け・招福の力があり、死者を蘇らせるほどの霊力を持つ杖。「オンヅエ」、「オニンボウ」、「シカンジョウ」、「シンの杖」などとも呼ばれています。90cm~120cmほどの竹を使い、両側には切紙で使った房が付けられている。
〇御幣[ごへい]
「御幣」とは、神々への捧げ物を意味し、貴重な品を示す「幣」(へい)に、尊称の「御」(ご)を付けたものである。50cm程度の長さの竹を使用し、棒の先に紙垂という白紙をとりつけたもので、神官が魔をお祓い、お清めをするために使われる。
〇扇[おうぎ]
舞に用いられる扇子は、様々な模様が描かれており、舞台で見栄えがするように、大きなものがつかわれることもあります。京築神楽では鬼が鬼杖と扇子を両手に持ち、舞っている姿をよく見かけます。
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