■大野城心のふるさと館のおすすめ(7)
◆御笠の森遺跡のお茶事情
御笠の森〔山田〕のあたりにある御笠の森遺跡は、平安時代から江戸時代初めごろまで続いた村で、古文書の記録から、山田村と呼ばれていたことが分かっています。山田村は、戦国時代には周りに大きな溝を巡らせ、村を守っていました。発掘調査では、中国や朝鮮半島の陶磁器のほか、肥前(現在の佐賀県)で作られた陶磁器、石臼や火縄銃の玉、土製のキセルなどたくさんの遺物が出土しています。
調査で見つかった遺物の中で、特に注目されるのは、お茶に関係するものです。お茶は中国南部で生まれ、奈良時代に日本に伝わりました。平安時代には、お茶の栽培と作り方が中国から新たにもたらされ、室町時代になると芦屋(現在の福岡県芦屋町)でお茶の席で使う芦屋釜を作り、当代随一の釜として室町将軍家や戦国大名の間で珍重されるなど、お茶は当時の権力と結びつき、後の茶道につながります。
そうした権力と結びついたお茶の世界を知るものとして、茶席で使われた茶碗があります。御笠の森遺跡から出土した陶磁器の中には、朝鮮半島で作られた井戸茶碗の破片が含まれていました。井戸茶碗は戦国時代の茶人たちに珍重され、銘を持ち、大名家などで伝世され、国宝や重要文化財に指定されているものもあります。また、都市遺跡や城郭遺跡などから出土していることから、山田村はこの地域の中心的な村であったと考えられます。
こうしたお茶の歴史を知る特別展を開催します。お茶を五感で楽しんでください。
◇大野城心のふるさと館夏季特別展「黄金の茶室と福岡のお茶」
会期:7月23日(火)〜9月8日(日)
問い合わせ先:心のふるさと館文化財担当
【電話】558-2206
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