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太宰府の文化財 (467)

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福岡県太宰府市

■新指定の文化財 宝満山遺跡群出土金銅仏
本市の文化財の指定などを審議する太宰府市文化財専門委員会より令和6年1月24日に出された答申を受けて、同年2月29日付けで新たに1件が太宰府市指定文化財に指定されました。これにより市指定文化財は合計35件となっています。

・市指定有形文化財(考古資料) 1件
・宝満山遺跡群出土金銅仏(ほうまんざんいせきぐんしゅつどこんどうぶつ) 2点

この資料は、市の発掘調査によって出土した小型の銅製の仏像2点で、1つ目は大字内山(うちやま)の南谷(みなみたに)と呼ばれる山の南西麓の平坦面での鉄塔建設に伴う発掘調査(昭和61年実施、第4次調査)によって出土した銅造菩薩形立像(どうぞうぼさつぎょうりゅうぞう)で、総高10・5cm、像高8・9cm、重量116・4gです。顔の部分や体の一部には鍍金が残っています。全体の形から7世紀後半の白鳳(はくほう)様式の造形を観察することができ、この時代のものとしては九州では数少ない飛鳥(あすか)時代から奈良時代の小金銅仏である点で貴重であることが評価されています。また、経塚の副納品や念持仏(ねんじぶつ)として利用された可能性もあり、寺院関連の坊跡(ぼうあと)であった当該地の歴史性を示す重要な出土遺物であるとも指摘されています。
2つ目の仏像は、大字内山の本谷(もとたに)でおこなった、最澄(さいちょう)が各地に建立した「六所宝塔(ろくしょほうとう)」のうちの「安西塔(あんざいとう)」の可能性が考えられている、山の西裾の独立峰上にある本谷礎石群での発掘調査(平成20年の第34次調査)によって出土した銅造如来形立像(どうぞうにょらいぎょうりゅうぞう)で、総高11・8cm、像高9・5cm、重量242・4gです。頭部が体部に対し大きく、前へややつき出し気味にする体形や体勢から、平安時代前期のものと考えられていますが、さらに上る時期の所産として朝鮮半島製とする意見もあります。同時期の出土の類例がない点で希少性があるとされ、最澄に関わる宝塔の推定地で金銅仏が出土したことで、この建物が仏教関連施設であったことを具体的に示す資料として重要であると指摘されています。
これらの金銅仏は、山岳霊場(さんがくれいじょう)遺跡である宝満山で出土した、仏教的要素を持つ遺物として重要である点が指定に値すると評価されています。宝満山ではこの他に大字内山の宝満A経塚や山頂地区の遺跡からも小金銅仏が出土しており、宝満山は仏教関連遺跡としても全国的にも注目され、山の一部は平成25年に国の史跡として指定されています。

文化財課 山村(やまむら)信榮(のぶひで)

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