文字サイズ
自治体の皆さまへ

[人権問題を考える]差別の歴史と人権感覚~3月21日は「国際人種差別撤廃デー」~

5/26

福岡県広川町

■アパルトヘイトから学ぶこと
第二次世界大戦後まもない、1948年の南アフリカでは、オランダ系白人が結成した国民党が総選挙で勝利したことをきっかけに「アパルトヘイト」という、黒人に対する人種隔離政策が始まりました。その内容は、選挙権を付与しないことや住区の制限、職業選択の制限など、あらゆる分野で差別的な立法措置をし、黒人の人権を侵害するものでした。この愚策は、約40年以上にわたり黒人の人権を侵害し、国際社会を巻き込む大問題へと発展していきます。
1960年3月21日、アパルトヘイト政策の一環である「パス法」(※)に反対するデモ行進に対して警察が発砲、69人が亡くなる事件が起きました。これをきっかけに、黒人による抗議活動や暴動が各地で頻発。国際社会からも強い非難の声が上がり始めます。そしてついに国連が乗り出し、1966年3月21日を「国際人種差別撤廃デー」と定めるに至りました。
※パス法…黒人に対し、身分証明書の携帯を義務付ける法律

■人種差別とSDGs
人種差別は、前述した黒人に対しての差別のみならず、アジア系差別やユダヤ人の迫害など、長い歴史の中で古くから存在してきました。すべての人間は平等であるべきですが、今も国内や国家間の不平等が数多く存在しています。
そのような状況を踏まえ、2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の第10項では「人や国の不平等をなくそう」という目標を掲げ、差別をなくす取り組みを強化しています。

■著名人による人権運動
2020年8月に行われたテニス全米オープン女子シングルスで優勝した大坂なおみ選手は、過去に人権侵害の犠牲となった黒人被害者の名前入りマスクを着用し、人種差別の撤廃を訴えました。優勝後のインタビューで「大切なのは、みんなが議論を始めること」と語り、全世界へ問題提起しました。影響力の強い著名人による人権運動は、ほかにも多く存在します。

■国内の人権問題
人権は、生まれた場所や文化、肌の色などで侵害されるものではありません。しかし、日本でもアイヌの民族問題や外国人の人権問題など、多くの差別が存在します。そこには「同和問題」など、過去の歴史の中で作り出された日本特有の問題も含まれており、今も一部の人に根強く差別意識が残っているのが現状です。

■日本初の人権宣言
1922年3月3日、全国水平社創立大会が行われ、「被差別部落解放」をスローガンに日本全国で水平社が立ち上がります。その一つである全筑後水平社は、1923年12月23日に久留米市の恵比須座で結成されました。被差別部落出身の人だけでなく多くの人が賛同し、全筑後水平社創立大会が開かれました。
今年の1月20日、久留米市の石橋文化ホールで、全筑後水平社創立100周年記念集会が開催され「水平社宣言」が朗読されました。全国水平社創立大会で採択された日本初の人権宣言ともいわれる水平社宣言には「人間を尊敬する事によって自ら解放せんとする」と示されており、人間を尊敬することこそがすべての差別の解消につながると謳っています。

■差別のない社会に向けて
一部の人が差別撤廃を訴えても、一人ひとりが自分のこととして考えない限り、人権問題は解決できません。次の世代へ差別を残さないためにも、人権について正しく学ぶ必要があります。国際人種差別撤廃デーや水平社宣言に込められた願いを受け止め、差別のない社会を築いていきませんか?

問合せ:生涯学習課人権・同和教育係
【電話】0943-32-0093

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU