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ふるさと再発見 広川町郷土史研究会

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福岡県広川町

■シナノキが、町の新しい天然記念物に
※シナノキに関する問合せは生涯学習係まで

○新しい文化財(天然記念物)
令和6年5月2日付で、梯区内にあるシナノキが、町の天然記念物に指定されました。これまでも、サギ草の自生地が県の天然記念物(昭和36年10月21日付で指定)、キリシマツツジが町の天然記念物(平成10年5月15日付で指定)に指定されてきましたが、いづれも自生株の消滅や枯死を理由として、指定は解除されていました。
そのため今回の指定が、天然記念物としては唯一のものとなります。
当該木は、
推定樹齢 約180年
樹高 約20メートル
胸高幹周 140センチメートル
シナノキは八女地域では、俗にヘラと呼ばれています。
水に濡れても強いことから、昔は縄の材料として、アサやシュロ(ショロとも)とともに重宝されていました。化学繊維が主流となった今日では、アサ縄・シュロ縄・ヘラ縄といった物は、まったくといってよいほど使われなくなっています。シュロはそのまま樹皮を剝ぎますが、ヘラは切り倒して樹皮を剝いでいたことから、大木で残っている例は多くありません。
当該木は、材料が化学繊維に代わったことにより利用されずに、幸運にも生き残った事例であろうと考えます。
実はシナノキは、広川町の産業の1つであった下駄の材料として、一番早く歴史に登場する木です。
文政4年(1821年)のころに、この木を利用して作った打割下駄(うちわりげた)が、六田村で作られたのが始まり、ということが昭和26年度の『中廣川村勢要覧』にみえます。
伐採して皮を剥いだ後に、再利用の道が考えられたのではないでしょうか。「これを久泉村の馬場市兵衛という人が、近隣に販売していた」(同要覧)ともいいます。
六田村で起こった下駄作りは、その後、久泉村で大きな発展をみせます。最盛期(昭和10年代)には、「久泉村だけで約40軒の業者があり、年産約35万足」(『広川町史』)を生産したと記録に残っています。
高級志向もあって、キリ材を小倉市(約7割)に求め、熊本・大分・福島・新潟・青森各県などからも仕入れていました。あるいは「キリ材よりも安価なクルミ材はノブと呼んで、宮崎県から仕入れていた」(故堤一夫氏談)ようです。

○景観木としての価値も高い
シナノキは秋の黄葉が見事で、文化財指定木はすぐ近くから見られることもあり、景観木としての価値も高いといってよいでしょう。
産業史と景観の両面からも、郷土が誇り得るシンボル樹の1つに間違いありません。町民の皆さまにも、広く認知いただければと願っています。

■広川町古墳資料館だより
高さ30センチメートルほどの首の長い弥生土器に穴が開いています。どのような用途に使うのでしょうか。おそらく、穴の径に合う竹の管を差し込んで、水やお酒などを注ぐための注ぎ口として使われたのではないかと思います。
木製の管は、土中では残りにくいので使用方法を推理することも考古学では必要になります。

問合せ:生涯学習係
【電話】0943-32-0093

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