■広川町にある巨樹・珍樹 その1
内田天満神社の境内には、カゴノキというクスノキ科の珍しい樹木が聳そびえています。
樹高 約10・0メートル
幹周 1・5メートル
を測ります。
樹木名の由来はというと、樹皮が円形薄片となってはく離して、鹿子(かのこ)模様に見えることから、そう呼ばれます。通りに面した場所にあるため、人の眼を引きます。
福岡県では、糟屋郡新宮町の六所(ろくしょ)神社境内に所在するカゴノキが有名で
樹高 10・5メートル
幹周 5・05メートル
を測る樹木が最大で、唯一の県指定天然記念物となっています。
それに比して内田天満神社の木は、幹周こそ及びませんが、樹高はほぼ肩を並べます。
樹勢はすこぶる旺盛で樹形も見事です。
これまでの調査の限りでは、いま一つ石人山古墳の、重要文化財の武装石人を御神体として祭る石人社の背後に自生木がありますが、巨木という程ではありません。
旧八女郡内でも、それなりに奥まった林中に数株は確認していますが、誰でもが簡単に近づける場所ではなく、そのような意味からも内田天満神社に聳える当該木は、いうなれば内田区のシンボル樹的な存在といってよいのではないでしょうか。
ちなみにカゴノキの特徴はというと、第一に樹皮が円形薄片となってはく離することです。これは蔓性(つるせい)植物の絡(から)み付(つ)きから身を守ろうとする自衛(じえい)・防御策(ぼうぎょさく)であると指摘する説もあります。そうであるとするならば、自然のなせる人知を超越した智恵に感嘆するばかりではあります。
これからしばらくは、広川町内に所在するこのような巨樹や珍樹について、それに付会する伝承など一緒に、ご紹介してみたいと考えています。
■広川町古墳資料館だより
広川町では、古墳時代住居跡から当時使用されていた土器が出土しており、特に丹塗(にぬ)り(赤)と漆塗(うるしぬ)り(黒)の土師器(はじき)(素焼きの土器)が、多く出土しています。
また、窯で焼かれた須恵器(すえき)に似せた土師器も出土しています。いずれも、通常の生活具とは違う使い方をしていた可能性があります。
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