■ハンセン病問題意識調査から見えること
令和6年4月、厚生労働省がハンセン病に関する差別や偏見について、全国の約2万1千人を対象に行った意識調査の結果を公表しました。調査では、9割が「ハンセン病を知っている」、6割以上が「遺伝する病気ではないと知っている」という回答でした。
しかし、「感染しても今の日本ではほぼ発症しない」と知っていたのは、35%にとどまりました。また、「元患者や家族とあなたの家族が結婚する」ことや、「手をつなぐなど身体に触れる」ことに抵抗感を持つと回答した人は、それぞれ2割ほどいました。
調査報告書では「知識は十分に浸透せず、偏見差別は現存し、依然として深刻な状況にある」と指摘しており、理解が深まっていないことが明らかになりました。今後も継続した人権教育や啓発の必要性が感じられる内容であり、同時に差別意識の根強さが感じられるものでした。
平成8年に、「らい予防法」というハンセン病患者を強制隔離する法律が89年の時を経て廃止され、平成13年に「ハンセン病元患者への補償法」が成立。令和元年には、「ハンセン病元患者『家族』への補償法」と、「改正ハンセン病問題基本法」が成立しました。このような過程が踏まれたにもかかわらず、差別や偏見はなくなっていません。
差別をしてしまうのは、普段からネットやSNSなどで誹謗中傷を繰り返している人たちばかりではありません。日頃から差別はよくないと思いながらも、ある時、身近な事として接した際に、心の奥底に潜んでいた差別や偏見の感情をあらわにする例も目立っています。人の心の奥底にあるものなので、根が深いものといえます。
そのような「偏見の根っこの部分」は、誰もが持っている可能性があります。その根っこから、差別や偏見の心が大きく育っていかないように、人権学習を続けていくことが大切です。講演会への参加や関連書籍・DVDなどの学習で、正しい知識を身につけましょう。
問合せ:市人権・同和対策課
【電話】52-1174
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