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歴まちコラム ~歴史と文化のふる里探訪~

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福岡県添田町

■金太郎は英彦山の山伏!? 能の演目「大江山」
皆さんは、坂田金時(さかたきんとき)という人物をご存じでしょうか。名前は聞いたことがなくても、多くの人が知っている人物です。
今回の歴まちコラムはこの「坂田金時」をご紹介します。

坂田金時は、毎年5月頃になると、この人物をモチーフにした人形が子どもの健やかな成長を願って飾られたり、「鉞(まさかり)かついで〜」の歌詞で始まる童謡にも登場したりと、多くの人にとって子どもの頃から馴染みがある人物です。答えは「金太郎」のことです。坂田金時とは、金太郎が大人になったときの呼び名です。しかし、歴史上の事実として、金太郎が本当に実在していたかどうかは諸説あるようです。
さて、金太郎といえば鉞をかついでクマの上に乗っている姿やクマと相撲を取るなど、力持ちの姿などが連想されるのではないでしょうか。これらのイメージは江戸時代に人々の娯楽であった能や歌舞伎、浄瑠璃、浮世絵などを通じて定着したようです。
能の「大江山(おおえやま)」という演目に、坂田金時という名前で登場し、源頼光(よりみつ)という武士に仕え、鬼の退治を行っています。この演目についてもう少し詳しく紹介しますと、源頼光が藤原保昌(やすまさ)とともに、天皇から都で悪さする鬼を退治するように命令を受けて、坂田金時など約50人を引き連れ、山伏姿に変装して鬼の住む大江山(京都府福知山市)へ向かう場面から始まります。源頼光ら一行が大江山に到着すると、鬼が「どこから来た山伏か」と問います。すると、源頼光ら一行は「英彦山から来た山伏である」と答えるのです。つまり、坂田金時は英彦山の山伏として登場するのです。もちろん、実話ではなく、物語のなかでの話ですが人々の娯楽のなかで、このような設定がなされているということは、英彦山の名前が全国的に広く知れ渡っていたことを示す一つの事例だと言えるでしょう。また、大峰山(奈良県)や羽黒山(山形県)など、さまざまな地域に山伏がいるなかでも、英彦山山伏は鬼を倒すことができるくらい不思議な力を持った存在として、一目置かれていたのかもしれません。

文/西山紘二学芸員(商工観光振興課歴史文化財係)

問合せ:役場商工観光振興課歴史文化財係
【電話】82-1236

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