令和4年度の市の決算を報告します。
みなさんが納めた税金などが、どのように使われたのか。
市の財政が、どのような状態なのか。決算を分析して解説します。
■一般会計決算の概要
令和4年度は、前年度に引き続き、通常の事業に加え、新中学校の建設やコロナ禍における地域経済の支援と感染防止対策などのさまざまな事業に取り組みました。このため、決算額は歳入歳出ともに平常時を大きく上回っています。
結果として、歳入は前年度から2.2%増えて362億9千465万円、歳出は前年度から3.9%増えて357億4千872万円でした。歳入から歳出を差し引いた額(形式収支)は5億4千594万円。この金額から、令和4年度に完了せず令和5年度に引き続いて行う事業(繰越事業)に充てる1億5千721万円を差し引いた額(実質収支)は、3億8千872万円で黒字決算となりました。
■黒字決算でも引き締めが必要不可欠
今回の黒字決算は、土地の売り払い収入などの臨時的な要素によるものです。さらに、令和5年度に開校した新中学校の建設事業は、多くの市債(いわゆる借金)を活用して実施してきたため、今後は公債費(借金の支払い)など財政負担の増加が見込まれます。市民のみなさんの生活を守るためには、今後も財政の引き締めが必要不可欠。行財政改革や歳入確保対策などに継続して取り組みます。
○市の貯金[基金]
168億1,370万円 前年度比+4.1%
基金とは、市の貯金のことです。本市には、財政調整基金・減債基金に加え、特定の目的を持った基金が23(一般会計)あります。令和4年度は、財源不足を補うために財政調整基金から2億円を使いました。
○市の借金[市債]
303億5,872万円 前年度比+5.9%
市債とは、施設整備や災害復旧事業などのために長期的に借り入れる市の借金のことです。市債により、1年間の財政負担を軽減し、さらに現世代の住民と将来その施設を利用する後世代の住民との間で負担を分けることができます。近年は、過疎対策事業による借入が急増しています。
○財政の硬直化が進む
経常収支比率 99.9% +2.7ポイント
毎年収入するお金が毎年使う費用にどの程度使われたかを示す指標。値が低いほど財政に弾力性があり、臨時的に使えるお金に余裕があることを意味します。令和元年度、2年度と100%を超える中、3年度決算では97.2%と若干改善しましたが、令和4年度決算では99.9%と悪化し、財政の硬直化が進んでいるといえます。
○国からの支援に依存
財政力指数 0.435 -0.003ポイント
市税などのお金で行政運営に必要な経費をどのくらい賄えているかを示す指標。1を下回るほど毎年必要なお金を市だけで調達できず、国からの支援(地方交付税)なしでは資金のやり繰りが難しい状態であることを意味します。令和4年度は、前年度とほぼ同じ水準であり、国からの支援に大きく頼ったままです。
■健全化判断比率は基準値以下 資金不足比率も「不足なし」
健全化判断比率は、市立病院などを含めた市全体の財政状況を明らかにするものです。本市は基準値を大きく下回っており、令和4年度決算を見ると、財政状況は健全な状態です。
■財政用語の意味
○歳入
自主財源:市が自主的に集めるお金
・市税…市民税や固定資産税など
・使用料及び手数料…公営住宅の家賃、公共施設の利用料など
・諸収入…学校給食費や貸付金元金収入など
・寄附金…ふるさと納税などの寄附金
・繰越金…前年度の予算のうち、決算で余ったお金や繰越事業に充てるお金
依存財源:国や県、銀行等からもらったり借りたりするお金
・国庫(県)支出金…特定の事業に使うために、国(県)から交付されるお金
・地方交付税…全国どこの住民でも一定の行政サービスが受けられるように、国から交付されるお金
○歳出
民生費:生活保護、高齢者や子育て支援などに使う費用
教育費:小中学校や図書館、公民館などの運営・管理などに使う費用
衛生費:ごみの収集や処理、医療や健康づくりなどに使う費用
総務費:税金の徴収や住民票の発行、庁舎の管理などに使う費用
公債費:国などから借りたお金を返済する費用
土木費:道路や公園、市営住宅などの整備や維持管理などに使う費用
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