[特集]消化管がん
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■[特集]消化管がんの現状
日本人の死亡原因1位のがん。中でも死因統計の上位を占めているのは消化管のがんです。
◇がんによる死亡数の多い臓器
日本の「がんの統計2024」(部位別予測がん死亡数(2023年))で多い順に挙げると、男性で肺、大腸、胃、膵臓、女性で大腸、肺、膵臓、乳房、胃と報告されています。このように大腸がんや胃がんなど消化管による死亡数が多くなっています。
胃がんの原因の一つとしてHelicobacter pylori(H.pylori)菌(ピロリ菌)の感染が有名です。近年、ピロリ菌感染率の低下と除菌治療の普及などにより、胃がんによる死亡数は2010年頃より減少傾向が続いており、年間5万人を超えていた死亡数は2020年には約4万2千人にまで減少しています。しかし、依然として胃がん死亡数は年間4万人を超えています。
また、大腸がんは全世界で3番目に多いがんであり、世界のがん死亡数の男性4位、女性3位を占めています。今後も日本では、食生活の欧米化などを背景に、大腸がん罹患者の更なる増加が予想されています。
▽部位別予測がん死亡数(2023)
参考:国立がん研究センター「がんの統計2024」
◇がんの早期発見
▽胃がん検診
胃がん検診の方法は、胃X線検査や内視鏡検査があります。胃がん検診の実施率は当初、全国自治体で20%のみと低い状況でしたが、年々導入する自治体は増加しています。自治体のがん検診チェックリストの報告では全国の導入率が42.9%でした。この数値を都道府県別にみると、30%以下の自治体がある一方、70%以上の自治体もあり大きな差があるのが現状です。
2022年の国民生活基礎調査では、福岡県の胃がん検診の受診率は40.4%で、全国の41.9%を下回っています。
▽大腸がん検診
日本における大腸がん検診は40歳以上の男女を対象として、原則として1年に1回の便潜血検査2日法による検診を行うことが厚生労働省指針により定められています。大腸がん検診による死亡リスク減少には検診受診率の向上が最も重要とされており平成28年国民生活基礎調査による日本の検診受診率は41.4%です。米国では70%、英国では50〜60%であり、日本の検診受診率は低いというのが現状です。大腸がん罹患数・死亡数が増加している今日、大腸がん検診の更なる普及が重要です。
▽がん検診受診率の推移
※厚生労働省の掲げるがん検診の受診目標率:60%(2023年3月)
▲当院の内視鏡検査及び治療数
消化管にできるがんは早期に発見されると、体に負担の少ない内視鏡にて治療が可能です。このようながんは症状を伴わないことが多いため、早期発見のためには検診が重要です。現在、無症状でも、検診目的の内視鏡検査をお勧めします。
◆内視鏡検査への不安を少しでも減らしたい~看護師の取組~
「健康診断の便潜血検査が陽性だった」「おなかの調子が悪い(便秘、下痢、出血など)」といった場合には、大腸内視鏡検査で原因を調べることが多いです。当院では、検査される患者さんの不安や疑問を少しでも取り除くため、検査の詳細がわかるチラシとパンフレットを作成しています。検査前日の食事内容、検査当日の流れ検査の仕方、検査後の過ごし方などをイラストや写真を使い解説しています。
◎令和5年度は1,042件の内視鏡検査を行いました!
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