気象庁の発表によると、今年の夏は例年より気温が高くなるといわれています。そのため、暑さへの対策が必要です。熱中症予防の注意点について紹介します。
近年厳しい暑さが続き、昨年、市内で熱中症が原因で救急搬送された人は800人を超えました。そのうちの約半数が高齢者でした。
◆福岡市民病院救急科の小野雄一医師(45)に熱中症予防について聞きました。
熱中症は、暑さで体温調節がうまくいかず、体内に熱がこもった状態をいいます。体内の水分が失われて血液の濃度が高くなり、体の機能が正常に働かなくなったことが原因で起こります。「体がだるい」「ぼーっとする」「足がつる」などの症状が現れ、重症化してけいれんしたり、意識を失ったりすると、命に関わることもあります。
特に高温多湿になる梅雨の終わりは、湿度によって体が熱を放出しにくい状況になります。体温が上がりやすくなるので注意しましょう。
▽高齢者や乳幼児は要注意
最近は、自宅で安静にしていた高齢者が熱中症になるケースが増えています。高齢になると、体温調節がうまくいかなくなり、感覚機能が衰えるため、熱中症に気付きにくくなります。自分の感覚だけに頼らず、水分の補給や室内の温度管理を行いましょう。
乳幼児にも注意が必要です。地面から照り返される熱の影響を大人より受けやすく、体温調節機能が未熟な上に、自分で症状を訴えることができません。
どちらも、周囲が声を掛けるなどして、体の変化に気付いてあげることが大切です。
▽定期的な休息と水分補給を
汗が出ると水分と塩分が失われます。暑い環境で運動や作業をする時は、小まめに休憩を挟み、水分と塩分を取ってください。涼しい場所で安静にしていても、水分は失われます。必ず水分を補給しましょう。
短時間でも屋外に出て、少しずつ体を暑さに慣らすのも、熱中症対策の一つです。いつも涼しい所にいると、突然暑い環境に身を置いた時に体が順応できず、熱中症を引き起こしてしまいます。
熱中症かもと思ったら、涼しい場所に移動し、衣服を緩めて太い血管が走る首、脇の下、脚の付け根を冷やしましょう。頭がぼーっとしている状態で水を飲ませると、誤って気道に入る恐れがあります。声を掛けても意識がない場合は、すぐに救急車を呼びましょう。
▽頑張りすぎないで
正しい知識があれば、熱中症を防ぐことはできます。水筒や塩あめを持ち歩き、体を冷やすグッズを活用するなど、自分なりの対策を心掛けましょう。
少しでも体調に異変を感じたら、すぐに休息を取ってください。無理をすると、重症化してしまいます。誰もが熱中症になる危険性があることを意識して、元気に夏を過ごしてください。
◆こんな症状があれば、熱中症を疑おう
熱中症は早期に発見し、正しく処置すれば、軽症で済みます。そのためには、下記のサインを見逃さないことが大切です。
▽軽症
・めまい
・足がつる
・汗が止まらない
・立ちくらみ
▽中等症
・頭痛
・吐き気
・体がだるい
・ぼーっとする
▽重症
・けいれん
・体が熱い(高体温)
・意識がない
・まっすぐ歩けない
◆もしもの時に備えて
「緊急通報システム」は、1人暮らしの高齢者等が家庭内で緊急事態に陥った際に、ボタンを押すだけで受信センターに通報し、助けを求めることができるサービスです。
市は、同システムの発信用機器の貸し出しを行っています。費用や申し込み方法など詳細は、各区福祉・介護保険課へ問い合わせを。
問い合わせ先:各区福祉・介護保険課
東【電話】092-645-1071【FAX】092-631-2191
博多【電話】092-419-1078【FAX】092-441-1455
中央【電話】092-718-1145【FAX】092-771-4955
南【電話】092-559-5127【FAX】092-512-8811
城南【電話】092-833-4170【FAX】092-822-2133
早良【電話】092-833-4352【FAX】092-831-5723
西【電話】092-895-7063【FAX】092-881-5874
◆熱中症にならないために
熱中症の予防のポイントは、体内に熱をためないことです。次のことを心掛け、快適に夏を過ごしましょう。
▽小まめに水分・塩分を補給する
1日1.2リットルを目安に水分を取り、スポーツ飲料や塩あめなどで塩分も忘れずに補給しましょう。のどが渇いていなくても、起床時や入浴前後、就寝前に水分を補給する習慣を付けましょう。
▽涼しく過ごす工夫をする
ゆったりとした風通しのよい服を身に着け、外出時には、つばの広い帽子や日傘で頭部を直射日光から守りましょう。
首の周りを冷やす「ネッククーラー」や、体に貼るタイプの冷却シートなど、体を冷やすグッズも活用しましょう。
▽気温と湿度に気を配る
冷房や扇風機を使用して、室温が28℃を超えないよう、温度計や湿度計も活用しましょう。カーテンやブラインド、すだれを使うのも効果的です。
▽体調を管理する
暑さに負けない体づくりのために、栄養バランスの良い食事を3食取りましょう。食欲がない時は、おかずを中心に少しずつ何回かに分けて食べると、栄養を補えます。
夏の睡眠不足は、熱中症のリスクを招きやすくなります。寝室を涼しくし、枕元に水を置くなどして睡眠環境を整えましょう。
市は、熱中症予防のポイントをまとめたリーフレットを情報プラザ(市役所1階)、各区健康課等で配布する他、ホームページ(「福岡市 熱中症情報 リーフレット」で検索)にも掲載しています。
問い合わせ先:健康危機管理課
【電話】092-711-4270【FAX】092-733-5535
◆夏を乗り切るレシピ動画を公開
市は、インスタグラム「いくちゃんねる福岡市」に、夏野菜を使った料理や、食欲を増進させる香辛料や香味野菜を取り入れた料理など、「夏を乗り切る」をテーマにしたレシピ動画を掲載しています。問い合わせは、地域保健課(【電話】092-711-4374【FAX】092-733-5535)へ。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>