■其の百七
日本遺産の世界 in 筑紫野
塔原塔跡(とうのはるとうあと)「西(にし)の都(みやこ)」の古代寺院(こだいじいん)
約1500年前、日本に大陸から仏教が導入され、奈良に飛鳥寺が造られました。瓦葺(かわらぶき)の講堂や回廊、塔などの建物がある寺院建築は地方でも取り入れられていき、新たな文化によって地域の風景に変化がもたらされました。
市内塔原には、寺院がいち早く造られたことを示すものが残っています。塔の中心の柱を支えた礎石(心礎)です。礎石の形や出土する瓦から、初期の寺院のものと考えられています。この寺院は、筑紫大宰(つくしのおおみこともち)として赴任した蘇我日向(そがのひむか)が654年に創建した「般若寺」ではないかと、文献史料の研究から推定されています。
礎石の寸法から、当時は高さ38mにもなる巨大な塔が建っていたと推測できます。これは、法隆寺五重塔にも匹敵する国内屈指の威容を誇る規模だったようです。
この地域に仏教思想が訪れたころ、日本は国際情勢の悪化で、半島との戦争に備えようとしている最中でした。そびえ立つ塔や寺院のありさまを見た古代の筑紫野の人々は、新たな時代の到来を感じとったのではないでしょうか。
※日本遺産の詳細は、ホームページで閲覧できます。
問合せ:文化財課
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