■7月は同和問題啓発強調月間です
同和問題は私たちみんなの問題です
◇同和問題(部落差別)を知っていますか
同和問題とは、江戸時代の身分制度や人々の意識の中につくられた歴史的・社会的な差別が、今なお、さまざまな形で残っている重大な社会問題であり、ほかの国には存在しない、日本特有の人権問題です。
かつて、日本国民の一部の人たちが作為的に住む場所や仕事、結婚など日常生活で厳しい制限を受け、差別されていました。この人々が住まわされていた場所が同和地区や被差別部落などと呼ばれ、そこで生活する人への差別や偏見などを同和問題や部落差別と言います。
私たちは誰もが生まれる場所を選ぶことはできません。つまり、同和問題とは、本人には何の原因も責任もないことで不平等や不利益を強いられ、自由と平等が侵害される不合理な人権問題なのです。
◇水平社宣言とは
大正11(1922)年3月3日、京都市の岡崎公会堂に各地から約3000人が集まって全国水平社の創立大会が開かれ、綱領(こうりょう)、宣言、決議を採択しました。西光万吉(さいこうまんきち)氏の起草した宣言は、水平社運動が人間の尊厳、自由・平等の理念に基づいて一切の差別・抑圧と闘い、部落出身者だけでなく全ての人間の解放を目指すことを明らかにしたもので、この宣言文が「水平社宣言」です。「人の世に熱あれ、人間に光あれ」と結ばれた、格調の高いヒューマニズム思想のこの水平社宣言は、日本で最初の人権宣言と言われています。
この宣言には、長い歴史の中で不当な差別を受けてきた人々の切実な思いがつづられているだけでなく、人間を尊敬することによって、全ての人々が部落差別をはじめ、あらゆる差別を受けることなく、人間らしく暮らしていける社会の実現を願う気持ちが込められています。
◇教科書の無償配布(部落解放運動からの成果)
小中学生に当たり前のように無償で配布されている教科書。今から60年ほど前に「全てのこどもたちに安心して学習してほしい」という思いから、昭和36(1961)年に被差別部落の活動から始まったのが「教科書無償運動」です。その後、「義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律」(昭和37(1962)年4月1日施行)「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」(昭和38(1963)年12月21日施行)が成立し、昭和44(1969)年から小中学生へ無償配布されるようになりました。
◇どんな差別が起きているのか
近年ではインターネットの普及に伴い、インターネットの匿名性を悪用して、電子掲示板などに面白半分で同和地区の地名やその地域に多い姓などを掲載する、差別書き込みなどが起こっています。特にインターネット上に拡散された情報は、完全に削除することが困難であり、うその情報だったとしても、多くの人を傷つける無責任で極めて悪質なものです。そのほかにも、企業が採用時に調査会社に依頼して応募者の家族状況などを調べたり、地方自治体などに特定の地区が同和地区かどうか調査したりするという、就職差別につながる身元調査事件が起きています。
◇同和問題の解決を目指して
同和問題の解決を目指すうえで「放っておけば差別はいつかなくなる」と考える人がいます。これは「寝た子を起こすな」という考え方であり、同和問題を学習する中でよく耳にします。本当に放っておいて差別はなくなるのでしょうか。もし本当にそうであれば、同和問題はもうなくなっているはずです。同和問題の解決に必要なことは、無関心ではなく、正しい理解と差別を決して許さないという気持ちです。無関心はさらなる差別を助長してしまうのです。実際に同和問題に無関心であったり、よく知らなかったりすると、偏見や差別を目にした時に気付くことができなくなります。正しい理解と認識を持つことが重要なのです。
同和問題は誰かの問題ではありません。私たち一人一人の問題であり、解決しなければならない問題です。この機会に、家庭や地域、職場などで同和問題のことを考えてみませんか。
■同和問題啓発強調月間のお知らせ
◇芦屋町人権講演会
日時:7月5日(金)・午後6時30分~8時45分
場所:町民会館1階大ホール
映画「破戒(はかい)」
※詳しくは、広報あしや今号に折りこんでいるチラシを見てください。
◇人権パネル展示
日時:7月1日(月)~31日(水)
場所:役場1階ロビー
◇街頭啓発
日時:7月1日(月)・午後4時30分から(予定)
場所:正門通り商店街など
◇福岡県人権講演会
日時:7月20日(土)・午後1時30分から
場所:クローバープラザ(春日市原町)
内容:
[講演]部落問題の今と、これからの社会づくり
[講師]武田 緑(たけだ みどり)さん
問合せ:社会教育係
【電話】223-3546
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