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芦屋歴史紀行 その三百三十九

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福岡県芦屋町

■芦屋歴史の里移転開館20周年記念特別展「妖怪!百鬼夜行~海にひそむ もののけたち~」より(2)
今回は、近隣の海や芦屋町にゆかりのある妖怪の伝承を紹介します。

◇平家の亡霊
全国各地の海に伝わるフナユウレイ(船幽霊)の話は、海で命を落とした人たちへの思いが集約されたものといえます。また、フナユウレイをアヤカシと呼ぶこともあります。謡曲(ようきょく)「船弁慶(ふなべんけい)」では平家の亡霊がアヤカシと呼ばれます。源義経(みなもとのよしつね)一行の乗る船に憑(と)りつき、逃避行を妨げています。
都を追われ大宰府落ちした平家方。彼らに忠義を尽くした郷土の英雄山鹿秀遠(やまがひでとお)。古代日本最大の海戦地、壇ノ浦に集結した平家方は300艘(そう)とも500艘とも記録されています。これらの船団のほとんどは、秀遠指揮のもと集った芦屋・山鹿の海民たちであり、故郷の土を踏むことの無かった弓取・梶取(かんどり)たちでした。
この源平合戦は、各地に妖怪・怨霊(おんりょう)おんりょう・もののけ・アヤカシを発生させます。地元芦屋には、洞山に騎馬武者の霊が出ると信じられています。また、壇ノ浦には、平家武者の怨念(おんねん)が甲羅に残された平家蟹(へいけがに)がうごめき、安徳帝(あんとくてい)や二位尼(にいのあま)とともに身投げした女官は河童に変わり、盲目の琵琶法師芳一(ほういち)が怨霊に耳を奪われました。

◇海御前(ウミゴゼン、アマゴゼ)
平教経(たいらののりつね)の奥方は、壇ノ浦の合戦時に入水して河童になったといわれ、福岡県の河童の元締めとされます。海御前は、普段は河童を支配していますが、毎年5月の節句からソバの花が咲く秋頃までの間は、河童を自由にし、白いものや笹に関係があるものを水中へ引き込ませるとされます。これは、源氏の旗が白で、家紋が笹リンドウであるためといいます。海御前の墓と伝えられる碑が北九州市門司区大積(おおつみ)に残されており、地元では水天宮(すいてんぐう)と呼ばれ、今も信仰をあつめています。

◇マヨイブネ(フナユウレイとも)
芦屋と岡垣の間の海域では、沈没した船の積み荷(肥前陶磁器)が多く発見され、芦屋沖海底遺跡として埋蔵文化財包蔵地に指定されています。この海域は、船が多く難破する難所でした。自然と怪しげな話もあるそうで、マヨイブネ(迷い船)の伝承が伝えられています。盆や年越しの夜、時化(しけ)の時などに船を出すと、海上でマヨイブネに行き合うといいます。夜中なのに灯をつけていなかったり、誰も乗っていなかったり、風に逆らって進んでいたりするので、一目でわかります。マヨイブネは、正面から近づいてきて、ぶつかると思った瞬間、忽然(こつぜん)と消えるそうです。

(芦屋歴史の里)

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