なぜ政府は「貯蓄から投資へのシフト」を推進するのかー
■資産所得の倍増って、本当はどういうこと?
2022年に政府が「資産所得倍増プラン」を発表し、1年が過ぎました。広報紙のアンケートでも、お金に関する情報を求める声は多くあります。そこで、市と包括連携協定を結んでいる福岡銀行さんに突撃取材しました。[後編]
前編は「広報ゆくはし1月号」をご覧ください。
◆知っておきたい!資産運用の勘違い
(1)NISAやiDeCoは投資初心者向け?
どちらも初心者向けの「商品」ではなく、「非課税となる制度」です。いずれの制度を活用するにしても、最終的な投資対象を選択するのは自分自身です。「初心者向け=絶対失敗しない、知識がなくても大丈夫」ではありません。
(2)長期で積立投資すれば絶対儲かる?
長期投資を実践すれば「一番儲かる」というわけではありません。「長期・積立・分散」はあくまで初心者でも成功しやすい投資手法なので、「大外れ」を回避するために「大当たり」の可能性も排除しているのです。
(3)すべてを投資に頼ってもいい?
投資はうまく付き合えば資産を大きく増やしてくれますが、保険のように、途中で死亡するなどのリスクまでを担保するものではありません。無理のない金額から始めましょう。
◆少額投資非課税制度 NISA
通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金がかかります。
NISAは、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になる、つまり、税金がかからなくなる制度です。
◇従来のNISAから投資枠が大幅アップ
1800万円まで税金が0円に。昨年までのNISAは、「一般NISA」と「つみたてNISA」で区分され、併用することができず、最大利用可能額は一般NISAで600万円、つみたてNISAで800万円でした。
今年からの新NISAは「成長投資枠」「つみたて投資枠」として併用可能となり、最大1,800万円まで非課税で投資することができます。
◇5年、20年の非課税期間が完全撤廃
税金が0円で投資できる期間が無期限に。昨年までのNISAは、税金が0円で投資ができる期間として、「一般NISA」が5年、「つみたてNISA」が20年とされていました。今年からの新NISAは、これらの期間が撤廃され無期限になります。
◆個人型確定拠出年金 iDeCo
iDeCoは、自分が拠出した掛金を、自分で運用し、資産を形成する年金制度です。掛金は65歳になるまで拠出可能であり、60歳以降に老齢給付金を受け取ることができます。
基本的に20歳以上65歳未満の全ての方が加入でき、より豊かな老後生活を送るための資産形成の方法のひとつとして位置づけられています。
◇所得税と住民税の負担が軽減されます
掛金が全額所得控除、運用益も非課税。
掛金全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となり、仮に毎月の掛金が1万円の場合、所得税(10%)、住民税(10%)とすると年間2.4万円、税金が軽減されます。通常、金融商品を運用すると運用益に課税されますが、iDeCoはNISAと同様に非課税で再投資されます。
◇知っておきたい注意点と改正点
途中引出し不可だが、改正は拡大傾向。
iDeCoは年金制度であるため、原則として60歳になるまで資産を引き出すことはできません。
2022年の改正では、受給開始時期を60歳から75歳までの間で選択できるようになりました。また、2024年の改正では、拠出金の限度額が引き上げられます。
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