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【クローズアップ】行橋の農を護(まも)り継ぐ者たち~私たちの食と農をもっと身近に~(1)

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福岡県行橋市

「農業」と聞いて、どこか遠い存在になっていませんか?昔は祖父母の家で一緒に畑に行ったり、トマトやキュウリを収穫したり、もっと近くに「農業」があったように思います。農林水産省が毎年発表している「⾷料・農業・農村の動向」では、令和4年の新規就農者数は、前年に比べ12.3%減少し、4万5,840⼈となったことが報告されています。この要因としては、新型コロナウイルス感染症の影響により落ち込んでいた雇⽤が回復した影響で、他産業からの就農者が減少したことが挙げられるといいます。行橋市においても新規就農者の獲得は喫緊の課題であり、後継者不足という深刻な問題に直面しています。今回の特集では、後継者として行橋の農を守り継ぐ3人の農家をクローズアップ。

■新田原期待の星! 高齢化と後継者不足に挑む
◇システムエンジニアからの転職
新田原でいちじく農家を営む北川憲二さん。北川さんは現在52歳。新田原果樹部会における若手のホープです。県立京都高校を卒業後、九州工業大学へ進学。その後、窓のサッシや衣類等のファスナーで有名なYKK(株)へ就職。システムエンジニアとして、工場内のシステム管理を行っていました。45歳までエンジニアとして働き、早期退職。お父様が亡くなられたことをきっかけに、いちじく農家を継ぎました。

◇一体どうすれば・・・就農の課題に直面
就農に際して、(1)資金の調達(2)農地の取得・確保(3)技術の習得等が大きな課題として挙げられます。実際に北川さんも、農地はあるが、資金の調達と技術の習得という課題に直面しました。一体どうすれば・・・ゼロからのスタートに不安を感じたと言います。とにかく情報収集をすること。県の就農支援センターや市の農業振興係等に相談しました。その結果、まず資金調達については、新規就農者育成総合対策(経営開始資金)事業を利用することになりました。次に、技術の習得について、県の普及指導センターやJA、周りの農家の方々に指導を受けたそうです。何か分からないことがあればすぐに相談しているという北川さん。また、就農して3~4年の間は、畑の道路沿いから周囲の農家の方々が心配していつも声掛けをしてくださっていたそうです。「このような支えがあったからこそ、何も知識がない中で頑張ることができた」。

◇NO!と言えない男
周囲の方々に支えられながら、いちじくやキウイ栽培に励む日々。3年前には、いちじく夏果の9割がカラスの被害に遭い、出荷できないという苦境に立たされました。そんな苦境を乗り越え、現在はJAのいちじく部会長として活躍されています。さらには、「株式会社ふるさぽ新田原」の立ち上げに携わり、自身の作業の合間に剪定、防除、除草等の作業を請け負い、後継者に悩んでいる高齢者農家のサポートを行っています。サポートメンバーとは情報共有アプリを使い、効率的に運用を行っています。エンジニアとしてオペレーションをしてきた北川さんならではの手法です。農家を始めて6年。「君ならできる!」そんな周囲の熱い期待に応えるべく、新田原果樹部会の若きホープは高齢化が進み、後継者問題に悩む農家のサポートに尽力しています。「何か始めようとしたときに、周りの環境によってはできないことも多い。ここ、新田原は違う。みんなで何とかしようという気持ちがある。だから、NO!とは言えない」。

◇会社勤めの時よりよっぽど幸せ
エンジニア時代は、計4回の転勤を経験。転勤だけでなく、全国北から南まで1~2か月スパンでの出張も頻繁にあったと言います。「仕事はとてもやりがいがあり、上司や仲間にも恵まれて楽しかった。しかし、時間的な余裕はあまりなかった。日々、仕事と時間に追われていたように感じる。今は農繫期を除いては、ゆっくり母と会話をしたり、仲間と趣味を楽しんだり、時間的な余裕ができた。会社勤めのときよりよっぽど幸せ。」と笑顔で語ってくれました。農業は大変な作業が多いイメージですが、新しい繋がりや価値観が生まれることを改めて認識しました。

◆新規就農者のために
「農業を始めたいけれど、何から始めたらいいのか分からない」「どこに相談すればいいんだろう?」と思ったらこちらに相談。

◇福岡県就農支援センター
福岡市中央区天神4-10-12(JA福岡県会館2階)
【電話】092-716-8355

◇各地域の相談窓口
県内10カ所にある普及指導センターでも受け付けています。
京築普及指導センター
中央1-2-1 行橋総合庁舎内
【電話】23-4215

◇新規就農者育成総合対策(経営開始資金)
次世代を担う農業者となることを志す者に対し、就農直後の経営確立にかかる資金を交付。
金額:1,500,000円/年
期間:最長3年間(経営開始後3年度目分まで)
要件:独立・自営就農時の年齢が原則49歳以下であり、次世代を担う農業者となることについて強い意欲を有していること等、いくつか要件があります。
詳細は二次元コード(本紙写真)よりご確認いただくか、問合せまでご連絡ください。

問合せ:農業振興係
【電話】内線1231
【ID】0010118

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