〔テーマ〕サルコペニアとサルコペニア肥満
飯塚市立病院 リハビリテーション室
理学療法士 小山(おやま) 美穂(みほ)
「サルコペニア」とは、ギリシャ語で「筋肉=サルコ」と「喪失=ぺニア」を組み合わせた言葉で、加齢に伴って全身の筋肉量が減り、筋力や身体機能(歩行速度など)が低下した状態を意味します。サルコペニアの原因としては、加齢や不活発な生活、病気、食欲不振などによる栄養不足などが挙げられ、日常的に運動習慣がない方や、食事の摂取量が全体的に少なく栄養不足になっている方などが発症しやすい傾向にあると言われています。
また、「サルコペニア肥満」とは、サルコペニアと、肥満もしくは体脂肪の増加を併せ持った状態で、筋肉量が減少することにより基礎代謝も低下し、脂肪がつきやすい状態となっています。筋肉量が減少する一方で、脂肪が増加するため、体重や体形などの見た目に大きな変化がないことがあり、分かりにくいのも特徴です。サルコペニアによる転倒・骨折などのリスクに加え、肥満による生活習慣病のリスクが重なりより注意が必要です。
サルコペニアやサルコペニア肥満の予防・改善には、運動や食事で筋肉量を増やしていく事が大切です。筋肉は、常に合成と分解を繰り返しており、運動と合わせてタンパク質(肉や魚、大豆、卵など)を摂取することで、筋肉内のタンパク質の合成が促されます。
運動としては、スクワットや踵上げなどの筋力トレーニングを継続することも大事ですが、普段運動習慣のない方にとって運動を始めることは難しいかと思われます。外出の機会を増やす、なるべく階段を使用するなど、日常生活の活動量を上げていくことからはじめてみてください。
食事面においては、高齢の方はタンパク質の合成能力が低くなっているため、タンパク質の必要量が多くなります。1日3度の食事に加え、間食でもタンパク質を摂取するなど工夫をし、予防・改善に努めていきましょう。なお、腎機能が低下している方はタンパク質の摂取に制限が必要な場合もありますので、医師に相談してください。
※飯塚市立病院よりお願い
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