■腰痛[1]~解剖と分類~
脊柱は7個の頚椎、12個の胸椎、5個の腰椎、5個の仙椎、3~4個の尾椎とこれらを連結する椎間板や靱帯で構成されていて、左右対称で、横から見ると4つの弯曲があります。頚椎と腰椎は前方凸に弯曲しており、胸椎と仙椎は後方凸に弯曲しています。胸椎部分では胸郭(肋骨に囲まれた心臓や肺がある部位)の存在により、胸椎の屈曲や伸展は制限されているため、頚椎や腰椎は屈曲伸展運動が代償的に大きくなり、力のスムースな伝達やショックの吸収を担うことになります。
腰椎の椎間板は上下の腰椎の椎体に挟まれて存在し、腰椎の前弯を維持するために前方が厚く後方が薄いくさび形をしています。椎間板は髄核という柔らかく弾力のある軟骨を線維輪という硬い線維性の軟骨が取り囲む形をしており、姿勢を維持し活動する時に負荷を受けるクッションの役割を担っています。
腰痛は、(1)機械的腰痛(2)非機械的腰痛(3)内臓性腰痛(4)心因性腰痛などに分類できます。
機械的腰痛には、骨折などの外傷やぎっくり腰(急性腰痛)、筋筋膜性腰痛症、腰椎椎間板症、腰椎分離症、変形性腰椎症、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などがあります。非機械的腰痛は、感染や腫瘍などを原因とする腰痛です。内臓性腰痛は、色々な臓器の疾患で起こることがあります。整形外科で検査を受けても異常が見つからず、原因がわからないまま、痛みが長引く腰痛の中に、心因性腰痛が隠れています。精神的なストレスや悩み、うつなどがあると、腰痛が改善しにくく長引くことも少なくありません。
■けんこうQandA 循環器科(10)
ー「心不全」を理解し、防ぎ、守り、共に生きるために知っておくべきことー
令和5年4月号から掲載してきたシリーズのまとめを記します。
「心不全」を理解し、防ぎ、守り、共に生きるために知っておくべきことは、
1.心不全を予防するには、危険因子の管理(早期介入と厳格な管理)が肝要です。
2.心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。
3.どんなに良い治療でも、結局は終末期の先送りと認識することが重要です。
4.末期心不全とは老年病「治す」のではなく「癒し支える」という考えが重要です。
5.心臓の専門医ばかりではなく、かかりつけ医をつくって賢く付き合いましょう。
6.怠薬を避け、必要な制限は守るようにしましょう。些細な兆候でも心配ごとは早めにかかりつけ医に相談しましょう。
7.発症した段階から終末期を見据えた対応(緩和ケア)、心構え(ACP)が必要です。
■形成外科医療録(10)
ー男性と形成外科ー
今回は男性に関連する形成外科疾患についてです。男性に特有な、あるいは女性に比べて多い形成外科疾患について説明します。
男性性器に関しては包茎が一般的な疾患です。仮性包茎と真性包茎の2種類がありますが、真性包茎の治療には保険診療が適応されます。仮性包茎では、保険診療の適応外となりますので自由診療による手術になります。料金トラブルなどの発生事例が報告されていることもありますので、医療機関選びにはご注意ください。陰茎自体にも悪性腫瘍が発症し、陰茎がんという稀な疾患もあります。他に男性性器にはパピローマウイルス感染による尖形コンジローマが発症し、レーザーや高周波メスによる治療を行います。
また、成人男性に多いのが、毛巣洞(もうそうどう)という病気です。これは殿部の体毛が素直に成長せず、皮下に閉じ込められ膿がたまるという病気です。長時間座っている方、運転手、痩せているより肥満の方、体毛の濃い方に出来やすい疾患です。
◎かかりつけ医の紹介・相談は、医師会事務局へ
ホームページURL【HP】https://www.iwaki.or.jp
提供・問い合わせ:(一社)いわき市医師会
【電話】38-4201
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