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市民の健康教室

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福島県いわき市

■扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍
のどの両脇にある口蓋扁桃という組織は、細菌・ウイルス感染などにより炎症を起こすと急性扁桃炎になります。時に扁桃腺周囲組織の深くまで炎症を生じ、この状態を扁桃周囲炎と言います。この状態が悪化し膿瘍を形成すると扁桃周囲膿瘍になります。さらに進行すると首の深いところまで膿が溜まったり(頸部膿瘍)、胸部にまで膿が溜まったり(縦隔膿瘍)、最悪の場合には、死に至ります。
症状は左右差のある激しいのどの痛み、高熱、物が食べられない、口の開きにくさなどです。のどの粘膜の腫脹により含み声を生じ、腫脹がのどの下方にまで広がると、呼吸困難感を生じます。急性扁桃炎と軽く考え治療を行うと非常に危険です。のどの視診を行い、扁桃周囲の腫脹や発赤などを確認します。また鼻からファイバースコープを挿入してのどの奥の腫れの有無を確認します。頸部膿瘍や縦隔膿瘍を疑う場合には、CT検査を行います。治療は抗菌薬の投与を行います。扁桃周囲膿瘍がある場合には、膿を排出する為に膿瘍の切開を行います。気道が十分に確保できない時は、まず気道確保のため気管挿管あるいは気管切開術が必要になります。
扁桃周囲膿瘍は再発することがありますので、感染が落ち着いた後に必要に応じて口蓋扁桃を摘出する手術を考慮します。扁桃周囲炎や扁桃周囲膿瘍を疑う場合には早めに耳鼻科を受診しましょう。

■けんこうQandA 放射線治療(3)
Q:放射線治療の副作用について教えてください。
A:体が放射線を受けると正常細胞も傷つき、いろいろな臓器に異常が起こります。これが、放射線治療による副作用です。放射線の副作用というと、はき気、食欲低下や白血球減少を思い浮かべるかもしれませんが、このような全身への影響はないか、あっても軽いものです。ほとんどの副作用は放射線を受けた臓器に起こる局所的な症状で、出現時期によって急性障害と晩期障害に分けられます。急性障害は治療中から治療後2~3か月までに現れ、皮膚炎や粘膜炎、下痢など、治療部位によっていろいろな症状がでます。急性障害は治療終了後には回復します。一方、晩期障害は、治療開始から数か月以上経過して出現する副作用で、回復せずに重い症状になることがあります。実際の治療では、治療前に撮影したCT画像を用いて、体内の放射線の分布を立体的にみながら治療計画を立てます。これによって、患者さんごとに最適な治療法を選択し、晩期障害を減らすことができるようになりました。

■乳腺外科(3)
ー乳がんの治療ー
前回・前々回と、乳がんで早期受診・早期治療が勧められ、特に検診は死亡率低下に結びついていることをお伝えしました。しかしながら実際は、死亡率低下には、検診の普及よりも治療の進歩がさらに大きく貢献しているようです。米国医師会雑誌に今年発表された最新の研究では、1975年から2019年にかけて米国の乳がん死亡率は58%低下し、その4分の1が検診普及によって、4分の3が治療の向上によってもたらされていました。乳がん治療では、手術、薬物療法、放射線治療を組み合わせますが、特に進歩が著しいのが、薬物療法です。現在では一般的な抗がん剤の他、ホルモン剤、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤など、さまざまな薬物が使用可能となっています。また、現代の乳がん治療のキーワードは「個別化」で、乳がんの進行具合やタイプに応じて治療が最適化されます。治療の強度を強めるだけでなく、早期患者では不要な治療を差し控えることで、体への負担を軽減できます。
(【HP】https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2813878)

◎かかりつけ医の紹介・相談は、医師会事務局へ
(ホームページURL【HP】https://www.iwaki.or.jp)

提供・問い合わせ:(一社)いわき市医師会
【電話】38-4201

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