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写真が語る「いわき」の歴史

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福島県いわき市

■炭鉱跡地に向ける視線
日本は古代からおおよそ江戸時代まで受け継がれてきた有形・無形の伝統・文化などを守るために文化財保護に関する法整備をしてきました。しかし、明治時代以降、近代産業のなかで生まれた建築物や行政資料などは、たえず更新されることなく、文化的価値が置かれず、気づくと、その多くは記録保持されないまま消失していきました。産業・経済人をはじめ一般住民は、そのことに気にもとめていませんでした。
ところが、近代社会を支えてきた「産業遺産」(インダストリアル・ヘリテージ)という考え方が、産業革命を最初に起こしたイギリスから発信され、やがて世界的潮流となりました。日本においても、平成4(1992)年、世界遺産条約を批准(ひじゅん)したことにより、平成5(1993)年には、国の重要文化財に新たに「近代化遺産」という種別、さらに細分類として土木遺産・交通遺産・産業遺産の3種類が設けられました。
いわき市において、このカテゴリーに入るのが産業(石炭・炭鉱)遺産であり、石炭用具(産業遺物)の一部が平成18(2006)年、「炭鉱の生産用具類」として市有形民俗文化財に指定されました。
しかし、産業遺構となる石炭積込場(常磐上湯長谷町)や扇風機上屋・中央選炭工場(内郷宮町)等の巨大施設には、管理上の課題などが横たわっており、臨時的に公開されているに過ぎません。
いわき独自の炭鉱遺構を観光と結びつける「ヘリテージ・ツーリズム」という考え方がありますが、こうした制約もあって浸透していないのが現状です。
(いわき地域学會 小宅幸一)

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