■「史跡をいかそう!」
須田博行
はじめに、遺跡と史跡の違いについてですが、遺跡とは、昔の人の活動の痕跡が残された場所などをいい、令和4年3月1日現在、全国に47万2071箇所あります。そして、遺跡のうち特に重要であると国が判断し指定したものを史跡といい、全国に1869箇所あります。史跡に指定されているのは、遺跡のうち約0・4%だけで、非常に希少であることがわかります。
さて、伊達市には国指定の史跡が3つあります。1つ目は、南北朝時代に北畠顕家が義良親王(のりよししんのう)を奉じて陸奥の国府を置くなど、南朝方の一大拠点として機能した重要な城跡である「霊山」。2つ目は、霊山町大石に15世紀前半に創建された寺院跡で、室町幕府と伊達氏との結びつきを考古学的に証明する重要な遺構である「宮脇廃寺跡」。3つ目は、国人領主から戦国大名へと発展を遂げた伊達氏の本拠地であり、領主居館や寺社仏閣などの配置から伊達氏の都市計画や領国経営がわかる稀け有うな遺跡である「伊達氏梁川遺跡群」です。全国1718市町村で史跡が1箇所もないところもある中、3つの史跡がある伊達市がいかに歴史的価値の高い地域であるかを改めて強く感じています。そして特徴的なのが、3つの史跡は全て伊達氏でつながっていることです。今後の調査研究を通じてより詳細な歴史の探求がなされることを期待しています。
市では今年、「伊達氏梁川遺跡群」の保存活用計画の策定に着手しました。今後、史跡内の発掘調査、整備基本計画の策定、整備実施設計を経て整備工事となります。史跡整備には想定以上に時間がかかりますが、正確で深い調査研究を経なければ正しい歴史的事実は明らかにならないからだと思っています。
また、史跡整備に最も大切なのが市民の興味と理解だと思います。発掘調査の見学や計画策定時の勉強会など、市民の皆さんが史跡整備に関わる機会を設け一緒に創り上げていきたいと思っています。特に子どもたちには、史跡を通じて歴史に興味を持ち、伊達市の自然や産業とともに“誇り”に感じてほしいと思っています。
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