会津図書館では貴重な所蔵資料をデジタル化して公開しています。その中から懐かしい風景などを紹介します。
■今回、紹介するのは「御薬園」
御薬園は、「心字(しんじ)の池」を園の中心に有する池泉回遊式(ちせんかいゆうしき)庭園(※1)です。室町時代の領主・葦名盛久(あしなもりひさ)が霊泉の湧き出たこの池に別荘を建てたのが始まりとされています。会津藩初代藩主・保科正之が庭園を整備して保養所として使うようになり、二代藩主・保科正経(まさつね)が領民を疫病から救うため園内で薬草の栽培を始めました。三代藩主・松平正容(まさかた)の時代に薬用人参を試植したことから「御薬園」と呼ばれるようになりました。「心字の池」の中島(亀島)に建つ楽寿亭(らくじゅてい)は、数寄屋風(すきやふう)(※2)の茅葺(かやぶ)きの建物で、藩主や藩重臣の休息のほか、茶席や密議の場としても使われていました。1936(昭和11)年、歌人の与謝野晶子は御薬園を訪れた際に「秋風に荷葉(かよう)うらがれ(※3)香を放つおん薬園の池をめぐれば」と詠み、御薬園公開10周年となる1962(昭和37)年11月に歌碑が建てられました。
※1…池の周囲を一周しながら鑑賞できるよう造られた庭園
※2…茶室風に造られた建物
※3…ハスの葉の先端が枯れること
問合せ:会津図書館
【電話】22-4711
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