■家族との「共食(きょうしょく)」の大切さ
市管理栄養士 唐司(とうのす)美帆
「共食」とは、家族や地域社会、学校、職場の仲間が一緒に食事をすることをいいます。共食は、一緒に食事をとる相手の心身を思いやる大切なコミュニケーションの機会となります。家族と一緒に食事をとりながら、その日の出来事などについて何気ない会話をすることで、普段と変わらない様子に安心する日もあれば、「少し食欲が無いな」など変化に気付く日もあるかもしれません。また、家族での共食は子どもにとって「いただきます」「ごちそうさま」のあいさつや箸の持ち方などの食事マナーを学ぶ大切な機会でもあります。
「できるだけ家族と食事がしたい」と思う一方で、仕事や介護、育児、部活など、家庭内の活動時間のズレなどから、共食が難しい人もいるでしょう。本市で令和3年度と令和5年度に実施した食育調査では、朝食と夕食、いずれも誰かと一緒に食べる子どもが減少していることが分かっています。これは、学校の給食以外では一人で食事をしている子どもが増えているということです。大人と同じように子どもも一人での食事はさびしいと感じたり、つまらないと思ったりするものです。
家族と一緒に食事をとる機会が少ない人は、朝食か夕食のいずれかや、数日に一度でも、曜日や日にちを決めて家族と食卓を囲む時間をつくりませんか。また、一緒に食事しているときは「スマートフォンやテレビをやめて」「家事の手をいったん止めて」食卓について、食事や会話をゆっくり楽しむ明るい時間になるようにしましょう。また、一緒に食事することができなくても、一緒に「メニューを考える」「食材を買いに行く」「料理を作る」「食後の片付けをする」「食事について会話する」ことなども、大切なコミュニケーションとなります。
共食について考え、できることから少しずつ始めてみませんか。
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