■理系を楽しむ私たち
▽女性は理系に向いていないって本当?
皆さんは「男性は理系に向いていて、女性は理系に向いていない」と思ったことはありますか。
SDGs(持続可能な開発目標)を実現するためには、さまざまな分野に多様な視点や発想が加わることが大切です。そのためには、例えば「男性は理系」、「女性は文系」といった思い込みや固定観念を捨て、性別に関わらず一人ひとりが自分の力を思う存分に発揮することが必要です。
この特集では、理工系分野で自分らしく頑張っている女性を紹介します。これから進路を考える皆さん、理工系分野への進学や就職も、進路の選択肢に加えてみませんか。
*デジタル人材:さまざまなデジタル技術を活用して、企業や社会に新しい価値を創造する人材
問合せ:協働・男女参画室
【電話】39・1405
■女子の2人に1人が4年制大学へ進学する時代-大学の理工系分野に占める女子の割合は、約5人に1人
▽求められる女性デジタル人材
民間企業や行政をはじめとするさまざまな分野でDX*が進む中、理工系の人材はますます必要とされています。
しかし、大学入学者の分野別男女比率を見ると、理学系に占める女子の割合は30・2%、工学系は15・2%と、理工系分野における女子の割合は、人文科学や社会科学、医薬歯学などの他の分野と比べても、少ない状況です(下表参照)。
今後、さらに社会のデジタル化が進むと考えられるなか、人口の半数を占める女性が理工系分野で活躍できる環境を整えることが、ますます重要となっていきます。
*DX(デジタルトランスフォーメーション):データやデジタル技術を活用し、業務の工程を改善するだけでなく、進化・変革すること
分野別入学者に占める女性比率(令和3年度)
※内閣府男女共同参画局「女子生徒等の理工系分野への進路選択における地域性についての調査研究調査報告書」を参考に作成
■~教育現場の声を聞きました~
会津大学学生部長語学研究センター 金子恵美子教授
▽「女性だから」という無意識の思い込みを捨てて
理系に進む女性が少ない要因としては、まず、文化的風潮が考えられます。例えば「女の子はそんなに勉強ができなくてもいい」という言葉を聞いたことはありませんか。この背景には「女性は結婚して男性に養ってもらうもの」という固定観念があるのだと思います。親や周囲のそうした何気ない言葉などが積み重なって、無意識の思い込みが生まれているのではないでしょうか。私も、仕事の都合で引っ越した際に、私ではなく家族の仕事の都合だと思われたことがあります。女性が自分のキャリアのために未知の土地へ引っ越すことが想像できないということも、文化的風潮だと思います。
次に、ロールモデルの不在です。プログラマーやシステムエンジニアなど、ICT分野で活躍する女性のメディアへの出演が少ないことも、男性が多い環境の中で女性がやっていけるのかという不安につながっているのだと思います。不安を解消するためにも、手本となる人材が必要ですよね。
最後に、「自分の腕一本で生きていく」という覚悟をもつ女性の割合が、男性に比べて少ないと感じています。女性自身に「仕事がダメなら結婚すればいい」という感覚が、少なからずあるのではないでしょうか。「男女平等」の実現のためには、女性も変わる必要があります。女性の政治家や管理職を増やすだけでなく、女性自身が覚悟をもつことも大切です。
世界的にみても、日本の女子中学生は理数系の学力が高いといわれています。文化的風潮による無意識の思い込みをなくし、女性がさまざまな分野で活躍できるよう、社会環境が整っていってほしいと思います。
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