『水草―水の中に生きる花々』
今年も暑い盛りの時期になりましたが、今回はひとつ涼しい話として、水中で生活する植物―水草について紹介したいと思います。
水草というとどのようなものを思い浮かべるでしょうか。典型的なものでは水中で葉が光合成する「沈水(ちんすい)植物」、ほかにはスイレンのように水面に浮いた葉をつくる「浮葉(ふよう)植物」などがあります。水草は湖沼や河川のような淡水域に生育するものから、海中など塩水に適応したものなど、世界に約2800種が知られています。
一般的な植物では、葉の表面の小さな穴から空気中の二酸化炭素や酸素などのガスを交換しますが、特に水草のうち沈水植物では葉に気孔を作らず、水に溶け込んだガスを直接吸収するといった特殊化がみられます。
市内では50種ほどの水草が分布しており、ため池のほか、河川や水路の湧水(ゆうすい)が混ざる場所でよくみられます。以下にいくつかを紹介します。
◆エビモ(蝦藻)
流水中で茎を長く伸ばして生育する。透明感のある葉にはフリルが付いているのが特徴。
◆ミクリ(実栗)
流水中では葉がテープ状に伸びる。実がイガグリの形になる。
◆コウホネ(河骨)
スイレンの仲間で、水流が速い場所では沈水葉となり透明なワカメがたなびいているように見える。
◆バイカモ(梅花藻)
葉が糸状に切れ込んで房状になる。湧水の流れ込む水路にみられる。
このようにさまざまな水草が生育していますが、これらは水生昆虫やエビ・カニ、魚のすみかにもなっており、小さな生態系となっています。夏休みの観察にもいかがでしょうか。
市ホームページで他にもカラー写真で水草を掲載しますので、ぜひご覧ください。
問合せ:市博物館
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