11月21日、天候に恵まれ、双葉町行政区長会(木幡敏郎会長)の秋季研修として飯舘村長泥地区の環境省除去土壌再生利用実証試験事業並びに相馬市の防災備蓄倉庫を視察しました。
原発事故の影響で、自然豊かな長泥地区が荒廃することに地元住民が危機感を感じ、環境再生事業を受け入れたとのことで、山間部にある34haの農地を放射能が低い5000Bq以下の土壌で盛土し、新たな土を50cm被せ広大な農地を造成するという事業です。中間貯蔵施設に仮置き中の土壌の75%を再生使用することで、県外で最終処分する土壌を低減するための実証試験で、これまで260億円を投じ今後も造成が続くとのことです。
農地は、作物の安全性や水田機能を考慮して水稲栽培のほか大根、キャベツ等の野菜、トルコキキョウ等の花きも試験的に栽培しており、放射性セシウムの濃度は基準値を下回っているとの説明がありました。中間貯蔵施設を受け入れている当町としましては、2045年までに県外最終処分するという国の約束事は復興に大きく関わってきますが、過日、首都圏での再生利用計画に反対意見が多かったとの報道もあり、国による安全性のPRが住民に浸透していないと感じました。実証試験事業を見学した高校生、一般の方々より、「データを見て汚染の少ない土壌は再使用が可能だと感じた」、「関心がない人へ積極的に発信したらどうか」等の声もあり、科学的な実証データによる情報発信が足りないとも感じました。
相馬市の防災備蓄倉庫は、東日本大震災を教訓にあってはならない災害から相馬市民が3日間程度避難生活を続けられるよう水、食料、寝具などを備蓄しており、有効期限のある食料品は廃棄処分せずにイベント、団体活動等に有効活用しているとのことです。住民の数が見えない当町ではありますが、災害に備え身の丈にあった備蓄倉庫の重要性を感じました。たいへん有意義な研修となりました。
双葉町行政区長会(山田区長)箭内 充
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