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高規格救急自動車研究開発事業 第三者委員会が報告書をまとめる(3)

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福島県国見町

令和4年2月:ワンテーブルと“未来志向によるまちづくり”などを目的とした包括連携協定を結ぶ。企業Aから「災害・救急車両の研究開発・製造」のため、企業版ふるさと納税3億5700万円が納付される。
令和4年3月:国見町議会は、「国見町まち・ひと・しごと創生推進基金条例(4)」を可決。国見町官民連携コンソーシアム委員会を開催し、国見町と13企業が参加。
令和4年4月:ワンテーブルに「国見町官民共創コンソーシアム業務」を委託した。委託料4000万円。また、「地域力創造アドバイザリー業務」を委託した。委託料560万円。
令和4年7月:ワンテーブルがベルリングの救急自動車(C-CABIN)を町役場駐車場に持参し、見学を行った。企業Bから「災害・救急自動車両の研究開発・製造」のため、企業版ふるさと納税1500万円が納付される。
令和4年8月:企業Cから「災害・救急自動車両の研究開発・製造」のため、企業版ふるさと納税6000万円が納付される。
令和4年9月:国見町議会は、高規格救急自動車研究開発事業費4億3210万円を含む補正予算を可決。
令和4年11月~12月:「高規格救急自動車研究開発等業務」についてプロポーザルの公募を開始。ワンテーブル1社から応募があり、提案を採択し、委託契約を結んだ。委託料4億3208万円。
令和5年2月~:河北新報が高規格救急自動車事業などの記事を連日、掲載。また、ワンテーブル元社長の不適切発言の音声データをインターネットで公開した。
令和5年3月:国見町はワンテーブル元社長を呼び、新聞報道の真偽を確認。これを認めたため、ワンテーブルとの「包括連携協定」、「国見町官民共創コンソーシアム業務委託」、「国見町地域力創造アドバイザリー業務委託」について、合意解約し、契約金を支払わないこととした。国見町は、国見町議会の全員協議会で、ワンテーブルとの協定、業務委託を合意解約すること、また、完成に近い高規格救急自動車は町が取得し、必要とする消防本部、病院等へ譲与することを説明、町議会の了承を得る。
令和5年4月:国見町議会は、高規格救急自動車12台を国見町が取得するという議案を可決。令和6年4月19日までに、12台全て救急自動車を必要とする消防本部や病院等へ引き渡された。

(4)国見町まち・ひと・しごと創生推進基金条例
企業版ふるさと納税の用途は、地方創生に資する事業に限られており、年度内に支出することが義務付けられているが、基金を設置することで次年度以降への繰り越しが可能となるため、その基金の設置について定めた条例。

■第三者委員会が指摘する問題点とは?
▽事業計画の不備
防災ゼリー事業や高規格救急自動車研究開発事業(以下「本事業」という)で最も問題となるのは、事業計画の不備です。いずれも高額な費用を要しているにもかかわらず、事業目的や達成方法、その効果などについての事前の十分な検討がなされていませんでした。

▽プロポーザルの期間と期限
高規格救急自動車の開発目的は、救急自動車市場が少数の企業に支配している状態を打破することでした。しかし、複数の企業が参入を検討するための十分な時間がなく、結果的にワンテーブルだけが応募する形になりました。これが官製談合の疑いを生んだ原因となっています。

▽財源に関する問題
本事業の財源は、寄附金や交付金を活用しています。自主財源を用いていないことから、厳しく吟味がされていませんでした。特に企業版ふるさと納税は寄附者が寄附の用途を指定できるため、その要求に沿った事業を進めざるを得ない側面がありました。また、単年度に支出せず、リース事業の進捗に応じて次年度に繰り越すなどの対応も考えるべきでした。

▽運営体制の問題
高額な予算支出を伴う長期的な事業は、本来、チームとしての対応が必要でしたが、実質的に1人の職員が担当しており、この体制は企業側の意向に引きずられる危険性を孕(はら)んでいました。
また、ワンテーブルとのやり取りもSNSを通じた非公式な手段を用いるなどずさんでした。公務におけるスマートフォンやSNSの使用の規定が整備されていなかったことも、問題の一因です。

▽住民への説明と事業評価の不備
国見町は新聞報道後に住民説明会を実施しましたが、本事業のような大規模な事業の場合、事業開始前に行われるべきものでした。住民に十分な説明を行い、理解を得ることが欠けていた結果、後に報道を見た住民の不安や疑問が広がったと考えられます。
また、本事業の効果・問題点について十分な事業評価が行われていませんでした。

▽監視体制の不十分さ
本事業のような大規模な事業にもかかわらず、内部会議などで全体での共有や協議がなされず、内部での実質的な議論が欠如していました。また、議会は詳細な検討を行わないまま予算を可決しています。さらに、監査委員の監視も不十分でした。

▽仕様書の問題
仕様書作成の担当者は高規格救急自動車の知識がなく、外部の情報や他の救急自動車の仕様書を参考に作成をしていました。結果的にワンテーブルが特定の救急自動車を提案し、仕様書もそれに沿った内容になったことから、手続きの公正性・透明性を欠くものであったと考えられます。

※第三者委員会の報告書は町ホームページで公表しています

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