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おおたま野の花おりおり

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福島県大玉村

ー花たちのおいたちー(3)
箱崎美義著

■(2)つづき
威力を発揮する、さくらの葉と木、樹木
さくら(桜)は、バラ科、落葉高木や低木で130品種がある。この上なき豪華絢爛に咲き誇った花後を見ると、目を疑うほどに、その様変わり、変身ぶりは、正にお見事だ。花びら(弁)に代って葉芽から緑一色の若葉がすくすくと成長し花空間を占める。白、ピンク世界景観から緑色の一色世界へ。他の落葉花木も同じを見せる。仲間の大島ざくら緑葉は、塩漬けし芳香のクマリン(よい香り)を含む、この塩漬け葉は、さくら餅や魚のさくら蒸しの貴重な食材にする。また、さくらの樹木、木材は、多種の木材加工品の貴重な材料に使われている。家や船などの建築材に、版木(図画)器具材、弁当入れ、灰櫃(すみびつ)、蒸籠(せいろう)、篩(ふるい)、彫刻物、また樹皮は、咳止薬やタバコ入れなど細工物、着物、木材の染料などに用いた。
豪華絢爛に咲き競い誇る染井吉野ざくら花毎年、何故か4月頃になると枯木同然に厳冬に耐えてきた落葉樹木たちの枝節に作られた小さな花芽が時々暖かい、春風に誘われて大きくふくらみ驚く花びらが開く。そして満開と変身する。この機会を私たち人間も地上の動・植物達も待っていたに違いない筈だ。人も他生物たちも花をみて決して怒らない。花は、単に子孫繁栄のためだが、万物にとってかけがえのない感動と不思議な力を誘発させ自然力を発揮させる。花が演ずるドラマは、想像外ぼとに偉大でその尊さを知るべきだ。日本の南から北へ、さくら前線が移り変るにつれて「さくらさくら」の歌声が耳もとにとどく。いずこの、さくら満開のもとでは、どこもかしこでも多くの人達で酒と踊りと歌声一色にそまる年一度の花やかな饗宴がしばしつづく。生き甲斐を感じるチャンス時間だ。乘じて、入学、初恋、人出会い、就職などの喜び祝いごとが続くどき。以前からコメどころ大玉村の、さくら花の動向とコメ作の行事は深く、その歴史は今なお物語り、つづく。機械化現代は無関係なのか。

■かきつばた
よりそひて靜なるかなかきつばた 高浜虚子
咲き揃ふ下より蕾かきつばた 杉浦示圭
淡紅き燕子花咲き紫のはなの間にまぎれすもみゆかきつばたの生えたち 木村流二郎

かきつばたの生いたち
かきつばたは、今から1,700年以前代、4世紀頃、平安時代の万葉集(歌集)や伊勢物語(歌物語)に、この名が初めて出てくる宿根性植物である。このかきつばたの名は、万葉時代には、「書き付け花」と呼ばれた。そのわけは、当時の着物は弱く、すぐ着れなくなるので長持ちさせるために、この花の汁を布にこすりつけ染色したことから「書き付け花」に因んで「かきつばた」の名に変り呼ばれるようになった。
(つづく)

※「箱崎」の「崎」は環境依存文字のため、置き換えています。正式表記は本紙をご覧ください。

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