菅家 博昭(大岐)
◆時代の変化とススキ
9月17日に、村内小野川の渡辺農機店で「博士トンネル開通1周年記念フェア」が開催された。新品・中古の農機具の保守・修理・販売をしている同店は、なくてはならない業種の店として地域のなかで活躍をされている。それは必需品になった除雪機や、電動カート(高齢者が乗るセニアカー等)も販売されているからだ。
91歳の父と一緒にフェアに行ってみた。現在、農機具の中古品は価格が高騰している。除雪機も同様だ。それは新品が購入されずに、中古品の利用が進んでいることを意味する。新品がどんどん購入されている時代は、下取りした中古品が市場に出回るためである。
会津若松市に8月下旬に、ヤマダ電機が移転開店した。同社は会津若松のゴミ焼却場を運営する。また回収粗大ゴミの再利用(リユース)も行うことになっている。また下取りした白物家電(洗濯機、冷蔵庫)を関東地域にある自社の再生工場で点検補修し、今回開店した新店で「リユース品(中古品)」として販売している。開店時にそれを視察してきた。中古農機具と同じで、価格は安くないのである。
1983年から草花栽培・山取り出荷をしている。当時は炭焼き・水稲(コメ)・葉たばこ・キノコ栽培・有機栽培(ダイコン、タクアンに加工して会津若松の個人宅に販売)をしており、20歳台前半であった。葉たばこ栽培が廃作(1985年)となることから、その主品目は「切り花」に置き換わった。当時はオミナエシ、アスター、グラジオラス、コスモス等と、山取りのススキ等であった。福島県と昭和村役場が、宿根カスミソウの栽培を勧めるなかで、かすみ草専作に転換していった。
ススキの採取・販売は40年継続している。
7月下旬の出穂から採取をはじめ、90cm100本でエルフバケットで出荷している。数年前は月見用として200箱ほど注文があり出荷したこともあった。
今年の月見は9月17日。この時期に出穂とならない地域も多く、奥会津のススキは8月はじめには出穂するため優良な地域資源となっている。
都内大手生花市場では、ススキは70cmから130cm内の長さで、1本30円で山形・茨城・長野・新潟等に依頼をして野から収穫し出荷を依頼している。ところが、これができる産地・生産者が減少している。
1回(1日)の依頼量が2万から3万本程度になるため、発注単位が多すぎるためだ。40年前は出荷箱の関係から「110cmで1本の穂に葉が3枚付いている」ことが出荷用件(仕様)であったが、現在は穂のみあれば良くなっている。
また葉を売るタカノハススキも畑に根を植えて出荷しているが、これは就農し花に転換した40年前に長野県の種苗会社から段ボール1個分の根を購入して、3度植え替えをして採花・出荷している。これは晩生種で9月10日以降にしか咲かないので、今年の月見には間に合わなかった。
継続出荷していると顧客があり、横箱段ボールで数百本入りの出荷が多いススキで、水付けバケツ出荷(エルフ)商品は、入り本数も100本と少なく40円から55円での販売であった。出荷量は1回2~5箱で、週で15箱程度である。今後はタカノハススキの出荷となり9月末まで継続する。
夏の壁があり、9月・10月の出荷品目、量とも少なくなり、9月・10月の草花類は高値になっている。10年前の3倍ほどの値段であるが露地草花の地域における価値に気付く農業者は少ない。「秋冷の花(露地草花)」が、地域の気象環境・自然環境を生かした、「秋は早く来る奥会津」の有利な点である。今年の秋彼岸のキク類は夏の高温で枯れ、あるいは高温抑制で開花が遅れ、通常80円の輪菊(大キク)は180円に高騰した。9月の業務需要(花束加工や会場装飾)は、キク以外にも花の欠品が多かった。
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