『心穏やかに過ごすコツ~悲しいニュースとの付き合い方~』
皆さんは悲しいニュースを目にしたとき、どのような気持ちになりますか?東欧で起きている紛争は未だに続いていますし、最近では中東でも紛争が始まってしまいました。
これらの遠い世界での出来事だけではなく、皆さんの身近なところでも様々な出来事が起きていると思います。
今回は、9月の総合健診で実施したアンケート調査の結果を振り返りながら、「悲しいニュース(ストレス)」と付き合うために何ができるかを考えます。
解説してくださるのは、福島県立医科大学医学部の博士研究員である本間稔宏先生です。
◆アンケート調査の結果から見えてきたこと
ロシアによるウクライナ侵攻に対して強いストレスを感じるかどうかは、放射線に対する不安の有無との関連性がある可能性が示されました。
強いストレスを感じると、以下の3つの症状がみられることがあります。
(1)侵入症状…以前の記憶が蘇ってしまう。
(2)回避症状…嫌な記憶を思い出す状況を避ける。
(3)過覚醒症状…常に気持ちが高ぶる。
強いストレスを感じたときに、このような症状が出ることは恥ずかしいことや異常なことではなく、正常な心の反応なのです。
そして、適切に対応することで、心穏やかに過ごすことができます。
◆どうすればいいの?
衝撃的なメディアの報道にどのように対処すれば良いのか、一部をご紹介します。
そして、この対処法は「遠い世界」の出来事だけではなく、私たちの周りで起きた「身近な場所」での出来事にも応用することができます。
・悲しいニュースを取り入れるのは必要最小限にしましょう
・いわゆる「ながら見」は控えましょう
・お子さんの年齢を踏まえて情報との距離の取り方を話し合いましょう
[資料]「惨事報道の視聴とメンタルヘルス」(日本トラウマティックストレス学会,2022)を参照
自分の生活に関わらない、遠くの土地で起こっている出来事に心を痛めることは、決して恥ずかしいことではありません。先ほど紹介した対処法を試しても、どうしても苦しいときもあると思います。そんなときには…。
・話しすぎて「もっと辛くなる」ことがない程度に、信頼できる人に気持ちを伝えてみましょう。
・今の生活に意識を戻して、自分の今いるその場所が安全であることを確認しましょう。
そして、相談を受けた人は、話をしてくれた人の気持ちを理解し、しっかりと受け止めてください。
楽しい気持ちは分かち合うことで倍増しますが、辛い気持ちは受け止めることで半減するだけではなく、受け止めた人の優しさが話してくれた人に伝わるはずです!
精神的なストレスの原因は、私たちの生活の様々なところに隠れているかもしれません。衝撃的な出来事に直面してから慌ててしまうのではなく、日頃からの心構えが大切だと思います。
辛い気持ちを抱えたまま年末年始を過ごすのではなく、穏やかな気持ちで心身ともに健やかに新年を迎えるためにも、悲しいニュース(辛い出来事)との付き合い方を身に付けてください!
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