年の暮れになると、家の大掃除を行う家庭も多いかと思います。日頃使っていない蔵や物置きをのぞいてみると、古い品物を発見するかもしれません。
博物館の資料の中には「民具」という分野があります。これは昔の道具のことです。例えば鍬(くわ)や千歯こきなどの農具、糸車や羽釜(はがま)などの生活道具は、江戸時代から使われるものとして教科書に登場することがあります。
しかし、最近は戦後の「懐かしい」道具も民具に含まれるようになっています。
例えば、おなじみの家電でも、昭和時代のものは形や機能が現在と違います。モノクロのテレビや、今よりもずっと機体が大きいラジオ、ダイアル式の電話機などがありました。
市歴史民俗資料館に収蔵されている道具の中にも、手回し式の計算機や真空管式のラジオ、レコードプレーヤーなど、今では見ることのなくなった昭和時代の道具がいくつかあります。
これらは、江戸時代からある農具などとは違い、せいぜい50年から70年ほど前のものですが、現代に近い時代のものであるだけに「価値がない」と処分されがちです。その結果、工業生産品であるにもかかわらず、どこからも姿を消してしまうことがあるのです。
近年は、こうした昭和の家電や生活道具なども保存すべきものと捉え、展覧会のテーマにする博物館も出てきています。
昔の道具はもちろんのこと「ちょっと昔の道具」も、身近な文化財のひとつといえます。
問合せ:文化財課
【電話】27-2310
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