「数珠繰り」は、数人がかりで長い数珠を回しながら念仏を唱える行事です。多くの場合、地域の女性を中心とした行事で、子安講(こやすこう)(安産祈願の集まり)などとあわせて行われます。今も田島(たじま)、入方(いりかた)、表郷の番沢(ばんざわ)・下羽原(しもはばら)、大信の町屋(まちや)・上新城(かみしんじょう)・中新城(なかしんじょう)・下新城(しもしんじょう)・日和田(ひわだ)・増見(ますみ)など、多くの地域で行われています。
数珠は念珠(ねんじゅ)ともいい、僧侶が念仏を行う際に玉を一つずつ繰くって回数を数えるために用いました。のちに多くの信徒による数珠繰りが行われるようになり、さまざまなご利益を願う行事として各地に広まったようです。
市内では2月10日前後に行うことが多く、12月8日や2月8日などのいわゆる事八日(ことようか)(事始め・事納めの日)にあわせて行われる場合もあります。事八日には災いがやってくるとされ、それを防ぐためと考えられます。また、数珠を回す回数が決められている場合もあり、21回、100回、3周など地域によってさまざまです。
表郷下羽原では、集落に災いが入ってこないよう、四つ角ごとに立ち止まって数珠を回します(写真(1))。参加者で反時計回りに回しながら「カザヨケ(風[邪]除け)ネンブツナムアミダ」「ゴキトウ(御祈祷)ネンブツナムアミダ」などと唱えます。
大信中新城では、集会所などに集まり、時計回りで数珠を回します(写真(2))。録音した念仏を流している間、休みなく数珠を回します。
このように、数珠繰りは地域の繁栄や安全を祈って続けられてきた歴史ある行事であり、大切な文化財のひとつです。
※写真は、本紙をご覧ください。
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