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福島県福島市

■第75回「自ら学びとる教育」
昨年から今年にかけ、市内20の小学校が創立150周年を迎えました。
教育こそ国家の礎。明治維新後まもない頃から150年にわたって励んできた人づくりが、国や地域の発展と豊かな生活につながりました。
従来の日本の教育は、教師が解決方法などの知識を一方通行的に「教える」スタイル。高度経済成長時代までのように先行事例があり、大量の画一的人材が求められる場合には、効率的で効果的な方法でした。
しかし、このやり方では、個性豊かな人材育成には向かないし、独創的な創造力も育ちません。教えられていない事態に対して、解決策を見出すことも困難でしょう。前例なき環境変化が次々と生じる現代には、多様性や創造性、解決策を自ら生み出す能力が必要です。
導入された一人一台端末の有効活用も、教育成果を左右する大きな課題です。時代の変遷とともに、教育に求められるものも、教育のスタイルも変わってきているのです。
先日、一人一台端末をうまく活用しながら、児童が自分で解決策を見つける教育に取り組む教師の算数の授業を見学しました。
児童が端末上で設問に取り掛かると、全員分の画面上の様子が教師の端末上に表示され、教師は適宜アドバイス。解き終わった児童には友達のサポートを促し、児童同士の共同作業が始まります。一旦全員が終了すると、数人が解き方を発表し、みんなで解答を確認。さらに教師は、もっといい解き方の検討を促し、児童が違う方に向き始めたら、自ら違うことに気づく質問をして軌道修正させ、自分の考えた結果として最適解に達する指導をしていました。
端末を使い、仲間と協力し合いながら、自ら論理的に考えて解決策を見出し、その過程を整理して発表する。この授業には、今後求められる学びの要素がぎっしり詰まっていました。その積み重ねの結果として、児童の問題解決への意欲が高まり、学力も全体平均を大幅に上回るようになっていたのです。
福島市教育委員会は、いま、こどもが自らの夢を実現できる力をつけられるようにするため、教師が「教える」授業からこどもが「学びとる」授業への転換を進めています。教師自身が変わらねばならず、たやすい道ではありませんが、こどもの学びの質は大きく向上するに違いありません。
家庭や職場でも自分で学びとる教育が進めば、効果倍増。ぜひ、進めていきたいものです。

福島市長 木幡 浩(こはたひろし)

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