能登半島地震の被災地では、生活と地域の再生に向けた取り組みが本格化してきました。
この地震で失われた貴い命の大半は建物倒壊によるもの。能登地域は、耐震基準強化前の住宅(「旧耐震基準住宅」とします)の割合が高く、改めて耐震補強の重要性を痛感します。新耐震基準住宅でも倒壊が報告されており、度重なる地震で耐震性が弱っていたことも想定されます。
福島市における旧耐震基準住宅の割合は27%。大震災に加え、2度の福島県沖地震により、3度も震度6弱の揺れを受けています。旧耐震基準住宅の補強が急がれますし、それ以外でもダメージを受けている住宅は、安全性を確認の上、適切な対応が必要でしょう。
住まいのもう一つの重要要素は、断熱性です。地球温暖化で年々暑くなる一方、寒いときは寒く、寒暖の振れ幅が大きくなっています。熱中症はもちろん、ヒートショックや疲労など寒暖差による体調不良も起きやすく、命取りにもなりえます。
暑さ寒さを冷暖房で対応するにしても、外気の変化に十分対応できなかったり、光熱費の高騰を考えると、つい冷暖房をケチったりしてしまいます。その点有効なのは住宅の断熱性強化です。外気の影響を受けにくく、エネルギー消費も節約できます。南東北地方の従前の住宅は断熱性が弱く、わが家は以前、プチプチや段ボールをサッシに張り付けて寒さをしのいでいました。
今後、住まいには耐震性や断熱性を確保して、安全で健康的、エネルギー消費も少ない住宅にしていくことが望まれます。もちろん、そのための改修費用がかかりますが、助成制度があり、市ではそうした情報を提供していますので、分からない場合はご相談ください。
高齢者の場合、買い物や通院に便利な市街地のマンションなどに移って、性能の高い住まいを確保するケースが増えています。住み慣れた家や地域を離れるのは切ないと思いますが、ケア付き高齢者住宅などでは新しい近所付き合いを楽しめるようです。
住まいは生活の基盤。能登半島地震を機に、安全で健康的、地球にもやさしい住まいについて考えてみましょう。
福島市長 木幡 浩(こはたひろし)
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