健康で自分らしい生活が送れるように、健康寿命を延ばすための取り組みを進めています。今回は「からだ」の中でも、歯と口の健康に着目した取り組みを紹介します。
◆40歳の約半数が歯周病
市では、子どものむし歯有病率は下の図のとおり減少していますが、40歳を対象に行った歯周疾患検診結果では、約半数に歯周病の疑いがありました。
また、75歳以上の後期高齢者は、残歯数20本以上の人の割合が減少しており、全国や県に比べて、高齢者の口腔機能が低下している割合が高くなっています。
◆歯周病に注意しましょう
歯周病は、歯周病菌などが原因となって、歯茎や顎(あご)の骨をはじめとする歯の周囲に炎症が起こる病気です。初期段階では自覚症状がないことが多く、進行するにつれて歯茎が腫れる、出血する、歯がぐらつくなどの症状が現れ、40歳以降の歯を失う最も大きな要因となっています。
また、歯周病菌が歯茎の血管から血液内に侵入して全身を巡り、動脈硬化が進行し、脳梗塞や心筋梗塞となったり、糖尿病が悪化したりするなど、全身に様々な影響を及ぼす可能性があります。
◆防ごう オーラルフレイル
加齢とともに筋力や心身の活力が低下し、健康な状態と要介護状態の中間にある状態を「フレイル」といい、特に口の機能低下を「オーラルフレイル」といいます。硬い物がかめない、食事のときむせる、滑舌が悪く話しにくい、口が渇いたり口臭がしたりするなどの症状が現れ、食生活だけでなく、コミュニケーション能力も低下し、社会生活にも影響を及ぼす人もいます。
さらに、オーラルフレイルがきっかけで、食欲の低下、低栄養により筋肉量が減少するなど全身の機能が低下し、要介護状態につながるといわれています。
オーラルフレイルの予防は、定期的な歯科医院の受診や、日頃からの歯磨きや歯間ブラシなどのケアだけでなく、口や舌を使って口腔体操を行うことで、口腔機能を高めることも効果的です。
◆受けようお口の健(検)診
市では、今年度から40・50・60・70歳になる人を対象に、指定医療機関で歯周疾患検診を行っています。
また、県後期高齢者医療広域連合では、令和5年度中に75・80歳になった人を対象に、歯科口腔健康診査を行っています。歯周病やオーラルフレイルの早期発見にもつながりますので、対象の人はぜひ受診しましょう(下の表のとおり)。
●日々のケアと健(検)診が大切
須賀川歯科医師会会長の鈴木幸一先生にお話を聞きました
Q1.歯科健(検)診を受けるメリットを教えてください。
歯周病や口腔機能の低下などを早期に発見することができ、早い段階で対処できるので、治療に掛かる時間や医療費を減らすことにつながります。自分の口の中の健康状態を知る機会となるので、セルフケアの意識が高まります。
Q2.歯周病やオーラルフレイルの対策について教えてください。
毎日行う歯磨きは欠かせません。磨き残しが無いように順番を決めて磨き、歯ブラシが届かない部分は、歯間ブラシやデンタルフロスの活用をお勧めします。
毎日のセルフケアと併せて、半年に1回程度歯科医院を受診することも大切です。自分では取り除けない歯石除去などのクリーニングやブラッシング指導などを受けることができます。
オーラルフレイル対策としては、口の筋肉を鍛える体操を実践すると良いでしょう。ウルトラ長寿体操(口腔元気体操)も効果的です。
Q3.市民の皆さんへ歯や口の健康のためのアドバイスをお願いします。
生涯自分の歯で食べるために、子どもの頃から毎日の歯磨きを習慣化し、むし歯予防に有効なフッ化物歯面塗布を活用しましょう。
また、かかりつけ歯科医院を持って、定期的に自分の歯と口の健康をチェックし、ちょっとした悩みを気軽に相談できる関係作りができると良いでしょう。歯や口の健康を守ることは、健康寿命を延ばすことにつながりますので、ぜひ実践してみてください。
→健康づくり課
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