「認知症になったら、このまま暮らしていけるだろうか」と考えたことはありませんか?本人や家族、地域の皆さんが認知症を正しく理解し、支え合うことで、認知症になっても、住み慣れた環境で自分らしく暮らしていくことができます。
◆認知症とは
様々な脳の病気により、脳の神経細胞の働きが徐々に低下し、認知機能(記憶や判断力など)が低下していくことで、日常生活に支障が出る状態のことです。
◆高齢者の6人に1人が認知症
平成26年度の「日本における認知症高齢者人口の将来推計に関する研究」によると、令和2年の65歳以上の高齢者のうち認知症の有病率は17・5%で、約6人に1人が認知症であると推計されており、令和7年には20%まで増加すると見込まれ、誰がなってもおかしくない身近な病気であることが分かります(下の図のとおり)。
市内の65歳以上の高齢者は、令和5年10月1日時点で2万2154人であり、認知症有病者が6人に1人とすると、3692人が認知症と推計されます。
◆認知症の種類と症状
脳は部位により機能が異なるため、障がいが起きた箇所によって症状も異なります。
認知症は、脳の神経細胞が萎縮する「アルツハイマー型認知症」が最も多く、次いで、脳の血管が詰まることで起こる「脳血管性認知症」、脳の神経細胞に特異な物質が出現する「レビー小体型認知症」などが代表的で、症状や経過もそれぞれ異なります(表1のとおり)。
「認知症かな?」と気付くきっかけの症状に「物忘れ」があります。
しかし、物忘れをするからといって、認知症であるとは限りません。認知症による場合と加齢による場合があります(表2のとおり)。
◆早期発見・早期治療が大切
認知症になっても自分らしく暮らしていくためには、早期の発見や対応がとても重要です。認知症を早期に発見することで、本人や家族が認知症への理解を深め、今後の介護や生活の方針をゆっくりと話し合い、決めることができます。
また、認知症は早期の治療により症状の進行を遅らせたり、症状の改善が期待できたりすることもあります。
◆認知症を予防するには
認知症は「高血圧」や「糖尿病」「脂質異常症」などの生活習慣病が大きく影響していると言われています。日頃からバランスの取れた食生活や適度な運動が大切です。
また、趣味のサークル活動やボランティア活動などの家庭内外で何らかの社会的役割を持つ地域活動などを行うことで、発症や進行を遅らせることができると言われています。
さらに「計算問題を解く」「絵を描く」「歌を歌う」など、脳に刺激を与え「感情を動かす」ことも認知症の予防に効果があると言われています。
◆今できることを大切に
認知症になる可能性は誰にでもあります。認知症になった人は、認知機能の低下により、以前はできていたことができなくなったり、記憶が思い出せなくなったりして、今までの自分との違いに戸惑い、不安や焦りを覚えます。
しかし、全ての行動ができなくなるという訳ではありません。これまで身に付けた自転車の運転や手作業、料理などの「手続き記憶」と呼ばれる行動は、できる場合があります。
本人のできる範囲で家庭内の役割を担うことや、家族が認知症を正しく理解し、温かく見守り、適切なサポートを行うことが大切です。
◆独りで悩まず相談を
認知症を正しく理解し、認知症の人やその家族を手助けする「認知症サポーター」や、認知症の人や家族・専門家と交流できる「認知症カフェ」などを活用し、身近な人や専門家に相談することも大切です。高齢者の身近な相談窓口である表3の地域包括支援センターや長寿福祉課にも、お気軽にご相談ください。
→長寿福祉課
【電話】88-8116
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