お医者さんが今伝えたいまめ知識
■認知症の話
西成医院 西成忍医師
認知症とは、物事を判断する能力が障害された『脳の病気』です。脳の働きが低下し、言葉のやりとりが困難になり、場所や時間、手順が不明になるなど、生活に支障が出てきます。物の置き忘れやちょっとしたことを思い出せないという単なる記憶の低下とは異なり、体験全体を忘れ『忘れたという自覚がない』ため、トラブルになってしまいます。
認知症にはさまざまな分類がありますが、認知症になったときは家族だけではなく本人も悩んでいますし、プライドも持ち続けています。したがって、周囲の人たちが怒りたくなるのはもっともですが、本人にとっては怒られたという嫌な気持ちを持ち続けることが多く、子どもと同じで、怒る人は嫌いになり、優しくしてくれる人には懐いてきます。怒ってしまうと何もなりませんし、ちょっとしたことを手伝ってくれたときは褒めてあげることが大事です。
認知症の人には『役割』を持たせたり『自分の居場所』が必要で、昔からのその人の私物を周りに置いたり、忘れたときには何かヒントを与えたり、「私が覚えているから大丈夫」と言ってあげてください。怒ってはいけません。物忘れが多く、表情がぼんやり、声が小さい、会話が減った、身なりがきちんとしていない、などは認知症の前兆でもあります。介護の基本は『食事・排せつ・入浴』ですが、家族だけでの介護には限界があり、介護サービスなどを利用することが大切です。困ったときは、かかりつけ医や市の包括支援センターにご相談ください。
横手市医師会HP
【URL】http://yokote-ishikai.sakura.ne.jp/
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