■被害を防ぐために
●鳥獣被害対策実施隊の活動
地元猟友会の皆さんは、横手市鳥獣被害対策実施隊として鳥獣の被害防止対策の実践的活動を担っており、大きな力となっています。実施隊員の確保や狩猟技術の伝承が大きな課題となっていることから、県と市では、新たに狩猟免許を取得し、実施隊員として活動する方に対して、狩猟免許取得などに対する助成をしています。実施隊活動にご協力いただける方を広く募集します。
●電気柵の設置による農畜産物被害対策
クマやイノシシなどによる農作物被害や、畜舎への侵入を継続的に防ぐために有効なのが電気柵です。電気柵に動物が触れると、電気ショックによる痛みを感じ近づかなくなります。
電気柵は、あまり費用がかからず、個人で設置することができます。市ではこれまで、農作物被害などの防止のため電気柵の設置に対する助成を行ってきており、効果を上げています。
▽クマの食害を防ぐため電気柵を設置しました
小川智洋さん(ブドウ農家・横手地域)
ブドウが収穫期を迎えた頃から、クマによる食害が発生し始めました。ブドウの房にかけた袋は引き裂かれ散乱し、中身だけが食べられている状況でした。被害は毎日続き、他の園地でもクマが侵入している様子で、朝夕の作業は特に注意を払いました。
連日起きるブドウ被害の対策として電気柵を設置し、効果はあったと感じています。ブドウの食害が低減したことに加えて、電気柵があることで農作業中の不安解消にもつながりました。
クマなどの被害対策に関する問合せ:農林整備課
【電話】32-2114
■その他の鳥獣被害
鳥獣がもたらす農業被害は農作物だけにとどまらず、鶏や豚といった家畜にも及びます。当市の農業産出額は秋田県1位で、畜産だけをとっても県内トップクラスとなっています。市内には令和5年2月1日時点で牛・豚・鶏を合わせ55の畜産事業者があり、豚は約3万7千頭、鶏は約17万羽が飼養されています。これらの家畜は、時として渡り鳥やイノシシなどを介し、『高病原性鳥インフルエンザ』や『豚熱』などの深刻な伝染病に感染してしまうことがあります。
▽高病原性鳥インフルエンザ
鳥インフルエンザの発生例は古くからありますが、近年のように流行が進み深刻化したのは平成15年のアジアにおける流行拡大からです。
平成19年ごろまでは、皆瀬川流域での白鳥への餌やりが冬の風物詩でしたが、白鳥や鴨かもといった渡り鳥が鳥インフルエンザウイルスを運んでくる可能性があることが知られてからは、自粛をお願いしています。餌やりが野鳥間の感染を促し、結果として養鶏場での高病原性鳥インフルエンザの感染リスクが高まるためです。
市内の養鶏場では野鳥からの鳥インフルエンザの感染に細心の注意を払い、鶏舎の窓にネットを設置したり、窓そのものがない構造にして野鳥の侵入を防ぐ対策や、鶏舎周辺の水たまりをなくし野鳥を寄せ付けないなどの対策を施しています。
▽豚熱(旧称豚コレラ)
国内における豚熱は平成4年度に一度収束しましたが、平成30年に岐阜県の養豚場で感染が再確認されてから、野生イノシシへの豚熱の感染拡大とともに、養豚場での豚熱被害は徐々に東北にも広がっています。
県内では令和4年8月に初めて豚熱に感染した野生イノシシが確認され、令和5年1月には市内でも確認されています。市内の養豚場では小動物が入らないように畜舎を改修するほか、イノシシなどの侵入を防ぐため、防護柵を設けるなど対策を講じています。また、県と協働して、野生イノシシへの豚熱感染を最小限に止めるため、市内の山林に餌型の経口ワクチンを散布しています。
▽家畜伝染病が発生した場合の対応
家畜の感染が判明した場合は、家畜伝染病予防法に従い、家畜保健衛生所の家畜防疫員の指導のもと畜舎にいる全頭(羽)の処分を行い、直ちに畜産事業者が用意する土地への埋却などを行う必要があります。そのため、畜産事業者には、家畜伝染病が発生した場合の家畜の埋却地をあらかじめ用意することが義務付けられています。家畜防疫に関する詳細は、南部家畜保健衛生所(【電話】0187-62-5354)までお問い合わせください。
●市民のみなさんへのお願い
▽鳥インフルエンザウイルス
感染した鳥との濃密な接触などの特殊な場合を除き、通常は人に感染しないと考えられていますが、次の点に注意してください。
・野鳥への餌やりは自粛してください。
・死亡した野鳥を見つけても、素手で触れないでください。
・野鳥が死亡や衰弱しているのを見かけた場合は、下記へ連絡してください。
死亡(衰弱)した野鳥を見つけた場合の連絡先:
県平鹿地域振興局森づくり推進課【電話】32-9505
農業振興課【電話】32-2113
または各地域局
▽豚熱ウイルス
野生イノシシの間で豚熱が広がり、人に感染することはありませんが、ウイルスを山林から持ち帰らないよう次の点に注意してください。
・山林に入った後、靴や使用した器具に付着した泥を落としてから下山してください。
・イノシシを登山道などに誘引しないよう、飲食物は捨てずに持ち帰ってください。
・山林に入った服装のまま、家畜がいる施設に近寄らないでください。
豚熱などに関する問合せ:農業振興課
【電話】32-2113
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