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(巻頭特集)守り、そしてつなぐ―能代七夕 天空の不夜城(1)

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秋田県能代市

8月2日、3日に開催される能代七夕「天空の不夜城」は、今年で10回目の運行を迎えます。今回の特集では、天空の不夜城運行の裏側と次世代へつなぐ活動をご紹介します。

日本一高い城郭灯籠として全国に名をはせた愛季(ちかすえ)(右)。24.1メートルの高さを誇ります。
嘉六(かろく)(左)は17.6メートルの高さで、明治時代の能代七夕の写真を元に作られました。

■一世紀の時を超えて
能代の夏を盛り上げる祭りの一つである、能代七夕「天空の不夜城」は、平成25年に運行が始まりました。当時、能代の町を活気づけたい、にぎわいを取り戻したいといった思いから始まった祭りです。
天空の不夜城は明治時代に行われていた夏の七夕行事「能代七夕」を参考に作られました。当時、太鼓や笛のおはやし、田楽を頭に乗せた子どもたちと一緒に名古屋城を模した大きな城郭灯籠が町中を練り歩いたと言われています。戦後、電気の普及により電線が張り巡らされるようになると、高さが制限され、巨大な灯籠は運行できなくなりました。
かつて運行された巨大灯籠を復活させようという思いと、国道101号の電線地中化により天空の不夜城が始まりました。

愛季、嘉六は運行しない間は解体されて保管され、補修作業が行われます。補修作業を行うのは小嶋将さんです。小嶋さんは愛季、嘉六を骨組みから設計・製作しました。
愛季、嘉六は、紙、針金、木でできています。組み立て時や、運行時で約1000カ所に破損部分が生じ、これを次の年の祭りまでに補修しなければなりません。紙が破れたところには新しく紙を張り、製作当時の図面を見ながら絵を描き直します。
「翌年の祭りに間に合わせるために1年かけて修理を行います。作業人数は2人。経年劣化もあって年々補修箇所が増えているので、運行開始ギリギリまで作業しています」と小嶋さんは話します。

■次世代へつなぐ
◇学校で天空の不夜城を学ぶ
渟城西小学校では、ふるさと教育の一環として、天空の不夜城勉強会を毎年開いています。ふるさと教育とは、「心の教育」の充実・発展を目指し、平成5年度から学校教育実践課題として推進されているもので、ふるさとのよさの発見、ふるさとへの愛着心の醸成、ふるさとに生きる意欲の喚起をねらいとして学校で取り入れられています。
6月26日に行われた勉強会では、天空の不夜城協議会の職員を講師として、6年生が天空の不夜城の歴史や、製作当時の様子などについて学びました。
また、田楽製作も行い、児童一人ひとりが将来の夢などを描いた田楽を作り、天空の不夜城開催当日に田楽を頭に乗せ、愛季、嘉六などとともに練り歩きます。
渟城西小学校のほかに、能代第一中学校の「一中若」、能代第二中学校の「二中若」、能代科学技術高校の生徒をはじめとした市内高校生も天空の不夜城に参加しています。

◇楽しさを実感して
能代七夕「天空の不夜城」協議会 小嶋将さん
天空の不夜城は、誰でも参加できる祭りです。これまで県外や外国の方が参加したこともあります。私自身、天空の不夜城と能代役七夕に参加していますが、参加してみないと分からない楽しさがあると思います。
また、見る人にも楽しんでもらえるように、飽きられない工夫をしていく必要があるとも感じています。参加する人も、見る人も「来てよかった!」と思ってもらえるような祭りを続けていきたいです。
ふるさとの祭りや文化、魅力をこれからつないでいくのは子どもたちです。その子どもたちが祭りや文化について学ぶ機会をどんどん増やして欲しいと思います。

■何年先もずっと…
能代市を盛り上げたい気持ちから始まった能代七夕「天空の不夜城」は今年で10回目の運行を迎えます。参加者の確保や灯籠の経年劣化への対応などの課題があるなかで、天空の不夜城を「続けていきたい」「守っていきたい」「つないでいきたい」
携わる人々の思いが詰まった能代七夕「天空の不夜城」は今年も能代の夏を彩ります。

能代七夕「天空の不夜城」は8月2日(金)、3日(土)に開催されます。詳細は次ページをご確認ください。(詳細は本紙参照)

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