■医療職を夢見る学生をサポート
医療を志す若者たち
地元の中学生や高校生が医療従事者の生の声を聞くことで、医療職を志すきっかけになることなどを目的とした「医療職を志す中高生の集い」が11月5日、交流センター講堂で開かれ、市内の学生22人が参加しました。本市と岩手医科大学、小坂町が主催するこのイベントは、令和2年度から始まり、今年で4回目です。
当日は「医療のプロフェッショナルから学ぼう!~聞いてみようあなたの知らない医療職の魅力~」と題し、本市出身で、石巻赤十字病院医師の髙杉貴大(たかひろ)さんが、医師を志したきっかけや受験対策などについて講演しました。
その後、参加者はグループに分かれ、医師や薬剤師、助産師、看護師、理学療法士、歯科衛生士などといった医療従事者11人とフリートークを行い、医療職の魅力や実現方法などについて質問しながら、真剣な表情で学んでいました。
▽学んだことを今後の進路選択に生かしたい
石木田広翔(ひろと)さん(花輪高校2年)
学校の職業体験で整骨院に行き、そこでの体験や、親からの勧めもあり「理学療法士」に興味を持ち参加しました。講演では、ささいなきっかけで医療の道に進んだということが印象に残りました。フリートークでは、実際に働く人から話を聞いて、その分野の人だけでなく、さまざまな職種の人と連携しながら仕事をしていることを学ぶことができ、より理学療法士への興味が増しました。
将来は、医療の道に進むかどうかも含め、まだ何も決まっていません。それでも、今日のイベントで学んだことを今後の進路選択に生かしていきたいです。
▽お母さんたちが安心して出産できる、優しい助産師になりたい
湯瀬妃菜(ひな)さん(花輪高校2年)
私は、赤ちゃんが好きなことと、お母さんと子どもをサポートできること、女性にしか就けない仕事であることが魅力だと感じるので、「助産師」になりたいと思っています。自分でも普段からいろいろ調べていましたが、今日話を聞いてみて、助産師は出産に立ち会える幸せをじかに感じられることや、出産だけでなく保健センターなど別の働き口があることを新たに学ぶことができました。
もしなれたら、お母さんたちが安心して出産できる優しい助産師になりたいです。また、地元が好きなので、将来は鹿角に戻ってきて地元の人の役に立ちたいです。
■市の医師確保対策
修学・開業を支援
市では、医学部への修学資金の貸与や医療機関の新規開設費用の補助などを行い、医師の確保を目指しています。市の支援制度を利用して医学部に入学した髙杉さんと、市内にクリニックを開設した澤田さんは、どのように自分の道を切り開いたのでしょうか。
▽石巻赤十字病院 初期研修医 髙杉貴大(たかひろ)さん
尾去沢中学校から大館鳳鳴高校に進学しましたが、学生時代は野球一色の生活でした。部活引退後から徐々に勉強に力を入れ、新潟大学の理学部に進学。物理学を専攻していましたが、就職後の進路は決まっていませんでした。
そんな中、東日本大震災が起き、テレビなどで被災者を助ける医師の姿を目にし、自分も非常時に人の役に立てる人間になりたいと思い、医師を目指すことにしました。一度大学を卒業し、アルバイトで生活費と受験費用を稼ぎながら新潟大学医学部を再受験。入学後は、鹿角市医師修学資金貸与制度を利用したことで、学生生活を楽しみつつ、勉学に集中することができました。
今は初期研修中で、軽症から重症の患者さんまで幅広く診療しています。今後はいろいろな場所で経験を積み、力をつけてから鹿角に戻って地元に貢献したいです。
▽かづのファミリークリニック 院長 澤田朋啓(ともひろ)さん
市の開業支援補助金を活用して、令和5年4月にかづのファミリークリニックを開業しました。それまでは、大館市立総合病院の小児科で働いていましたが、鹿角から来る患者さんも多く、「誰か鹿角で小児科の先生が開業してくれれば、もっと患者さんが楽になるのに」と思っていました。そんな時、鹿角には耳鼻科もないことに気付き、私は以前、耳鼻科で勤務していた経験があったので、自分なら小児科も耳鼻科も幅広く診ることができ、地域の人のお役に立てるのではないかと考え開業することにしました。
鹿角の人は真面目で礼儀正しい人が多く、時には待ち時間が長くなることもあるのですが、患者さんのご理解のおかげで診療ができています。
今後は、人員を増やし、家族で何でも相談できるクリニックを目指して頑張っていきますので、ご愛顧のほどよろしくお願いします。
■返還免除もあります!
医師修学資金の貸与
将来、鹿角市内の医療機関に医師として働く意思のある人に対し、修学資金を無利子で貸与します。
対象者:本人または保護者が鹿角市に住民登録し、3年以上居住している人
※鹿角市に3年以上居住している3親等以内の親族がいる人も対象となります。
貸与額:月額20万円(最大6年間)
※入学初年度の学納金も、760万円を上限に貸与します。
返還免除:臨床研修後10年以内に市内医療機関で貸与期間に相当する期間(6年貸与の場合は6年)医師の業務に従事した場合、返還を免除します。
■補助額は最大2,000万円
医療機関開業資金を補助
対象者:市内に診療所を開設する医師
▽補助1 開業支援
・対象経費…補助対象施設に係る土地購入費、建物建設費、医療機器購入費など
・補助額…対象経費の3分の2(上限2,000万円)
※常勤医師が2人いる場合の上限額は、4,000万円です。
▽補助2 雇用支援
・対象条件…市内に住所がある人を2人以上常時雇用すること
・補助額…看護師など1人につき年20万円
※年5人を上限に最大3年間補助します。
支援制度の詳細は、本紙記載の二次元コードをご覧ください。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>