■子育てと民法の改正
親にビンタされた記憶が一回だけあります。皆さんはどうでしょうか。
民法は、子の教育について、親が「監護・教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。」としていましたが、懲戒という言葉が体罰を許してしまうという批判から、次のように改正されました。
「子の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の、子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない。」
まず、体罰は暴行罪、暴言は侮辱罪や脅迫罪にあたるので当然ダメ。でも「自分も親にそうされたから」という理由で、負の連鎖が続いています。
子に、夫婦げんかを見せるのも、心理的虐待にあたります。僕もこれがとても嫌でした。心理的な虐待は身体的な虐待より脳にダメージを与える、という研究結果もあります。
ただ、現実の子育ては、そんなにうまくいかないですよね。ちょっとした失敗は、ほめること、スキンシップ、親が間違ったら素直に謝ること、で挽回できるはずです。
高齢の親が、中年の子の相談に来ることがあります。子の借金がとか子の嫁がとか。詳しく聞いてみると「あの子がいじめられたとき学校は何もしてくれなかった」という話になります。確かに、少し前の教育は子の発達や人格への配慮が乏しく、また、親や家族への相談支援体制も十分ではなかったかもしれません。
でも最近は、子の発達に関する研究が進み、行政も力を入れています。乳幼児健診などで気軽に相談してみましょう。僕も、依頼者の子と直接話したり、親のグチを聞いたりしつつ保健師や心理士を紹介しています。
子は、親や家族だけでなく、社会で育てるものです。肩の力を抜いて手を取り合って育てていきましょう。
志賀貴光(たかみつ)弁護士
法テラス鹿角法律事務所
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