地形的に山に築かれた“山城”が多い群馬県。
自然の地形を最大限に生かした城が多く、戦国武将たちに“難攻不落”と言わしめた、さまざまな工夫を見ることができます。
山に訪れる春と共に、歴史的にも建築構造的にも重要な意味を持つ、群馬のお城を散策してみませんか。
○「城好き! ロバート山本さんも群馬の城に夢中!」
城は科学。技術の粋が全て詰まっています
ロバート 山本 博さん
僕が思う城の面白さは、いかに攻略できないようにするか計算し、技術とアイデアを尽くして造られているところです。「戦場」を科学的に分析して造られた面白い城が、当時の群馬にはたくさんありました!
■戦国武将が取り合う土地で機能面が発達した城の数々
三方を山に囲まれ、利根川をはじめとする川が人々の行く手を阻む群馬の土地。戦国の世では、群馬は関東進出の足がかりであり、日本海と太平洋の文化が混ざるまれな土地でした。そのため北条(ほうじょう)氏、武田(たけだ)氏、上杉(うえすぎ)氏、真田(さなだ)氏、さらには織田(おだ)氏が加わって、名だたる戦国武将たちが群馬を支配しようとやって来ました。しかし川が境界線となって全地域を支配することは難しく、戦が増える度に群馬の城の性能は上がっていきました。
▼群馬のお城これが特徴
(1)山や川など、建てる場所の地形に合わせて攻め込まれないための工夫がされている
(2)石垣や馬出など、当時の最先端技術を駆使した城の防御設備が発達している
(3)城主が替わることが多く、時代の移り変わりを城の内部に見ることができる
▼群馬の主なお城
○国指定史跡
・金山城(太田市)
・箕輪城(高崎市)
・岩櫃城(東吾妻町)
○県指定史跡
・名胡桃城(なぐるみじょう)(みなかみ町)
・長井坂城(ながいさかじょう)(渋川市・昭和村)
・大胡城(おおごじょう)(前橋市)
・山上城(やまかみじょう)(桐生市)
・膳城(ぜんじょう)(前橋市)
・北新波砦(きたあらなみとりで)(高崎市)
・平井城・平井金山城(ひらいじょう ひらいかなやまじょう)(藤岡市)
○取材協力
飯森 康広(いいもり やすひろ)さん(県埋蔵文化財調査事業団)
群馬には中世から江戸時代にかけて造られた、当時最先端の城がそのままの形状で残されているので、それらをぜひ見てください
■岩山に築く中世の石垣の城
金山城(かなやまじょう)[太田市]
▼歴史・見どころ!
戦国時代に造られた山城で、堀切や土塁、石垣などの土木工事を中心とした、遺構が残されています。岩山に築かれたことから石垣や石敷きが多用されており、それまでの定説だった「戦国時代の関東の山城に、本格的な石垣はない」とされる城郭史を覆した貴重な城です。当時から石垣を造る技術がこの土地にあったことが分かる、段々に積まれた石垣を見ることができます。現在では、金山城時代の通路形態を復元し、金山山上の主要な城跡を巡れるようになっています。
▼ここが見どころ!
戦国時代の関東を代表する、高い技術の石垣
○城郭内にある「池」
山頂の城でありながら「日の池」と「月の池」が城での生活を支え、長期化する戦を耐え抜く貴重な水源となりました
○史跡金山城跡ガイダンス施設
金山の南麓にある、金山城の歴史の紹介や来訪者の憩いの場。建築家の隈研吾(くま けんご)氏による設計も一見の価値があります
○一緒に散策
「太田金山、子育て呑龍(どんりゅう)」
金山城の周辺はアカマツ林が広がる丘陵地で散策路になっていて、自然を感じながら歴史の名所を巡ることができます。スタート地点の「大光院(だいこういん)」は、上毛かるたの子育て呑龍として有名なお寺です
問い合わせ先:太田市金山地域交流センター
住所:太田市金山町40の30
【電話】0276-25-1067
利用時間:午前9時〜午後5時(入館受け付けは午後4時30分)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)
入館料:無料
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