■「桐生の自然の変化明らかに」
『新編桐生市史』編集委員 自然部会専門委員 寺内優美子(てらうちゆみこ)
自然部会は、地形・地質、動物、植物、キノコなどの種類や分布について調べています。黒保根村(現黒保根町)の合併により、赤城山の黒檜(くろび)山(1828メートル)までが市域となり、広沢町七丁目の渡良瀬川河畔(65メートル)との標高差は約1700メートルに及びます。地形的にも関東平野の北の端に位置し、地質も複雑に入り組んでいます。このような自然条件が組み合わされることで、生物の多様性が生まれてきました。
昭和56年に「桐生市植物誌」、昭和62年に「桐生市動物誌」、平成24年に「桐生の地誌」が発行されていますが、それ以降のものはありません。今回、『新編桐生市史』の編さんにあたり、自然の変化も重要な視点となるため、自然部会で調査を進めています。
気候変動の影響は、生物にも現れています。チョウのツマグロヒョウモンは、近年、南から桐生地域に分布を伸ばし、市内で普通に見られるようになりました。一方でシカが増え、食害によって、見られなくなった植物もあります。
市民の皆さんが身近に見て、感じている自然を科学的に調査し、明らかにすることが自然部会に課せられた役割と考えています。
春秋の渡り鳥や桐生川や渡良瀬川の魚、赤トンボなど身近な生き物の変化や、アライグマなどの外来生物も調査し、まとめていきたいと思います。
問い合わせ:市史編さん室
(【電話】47-7335)
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