県では、本県産農産物のブランド確立に向けて、県オリジナル品種のメロン「イバラキング」と梨「恵水」、県産の栗、県を代表する銘柄牛の「常陸牛」、銘柄豚肉の「常陸の輝き」の5品目を重点品目と位置づけ、県内外へのPRを積極的に行っています。
今回は、常陸牛新ブランド「常陸牛煌(きらめき)」をご紹介します。
◆新ブランド「常陸牛煌(きらめき)」誕生
常陸牛のさらなる高みを目指し、新たな基準による最高級ブランドが完成しました。
●新ブランドの立ち上げ
現在、和牛は肥育技術の向上と改良が進んだことで、全国的に霜降り度合いが高くなり、霜降りの多さだけでの差別化が難しくなっています。
そのため、県では、常陸牛の生産から流通・販売、研究などさまざまな立場の有識者で構成する「新ブランド常陸牛ブランディング検討委員会」を設置し、ブランド基準や販売ターゲットなどについて検討を重ねてきました。
その結果、風味や口溶けの良さに関わる「オレイン酸」や口当たりの良さに関与する「霜降りのきめ細かさ(小ザシ)」など、おいしさに着目した全国初の新たな基準で厳選した新ブランド「常陸牛煌」を打ち出すことで、常陸牛のトップブランド化と、国内外へのさらなる販路拡大を図ることとしました。
●「常陸牛煌」の特長
30か月以上かけてじっくり肥育した茨城生まれの常陸牛のうち、オレイン酸が豊富で、きめ細かな「小ザシ」を持ったほんの一握りの牛だけが、「常陸牛煌」に認定されます。厳しい基準により認定された「常陸牛煌」は、食べた瞬間に和牛ならではのうま味や芳醇な香りが口いっぱいに広がり、極上のおいしさを実感できます。
■「常陸牛煌」の認定基準
5つの基準を全て満たしたものが「常陸牛煌」に認定されます
・茨城生まれ茨城育ち
繁殖農家や肥育農家などの県内生産者が一体となって、子牛生産の段階から品質向上に取り組みます。
・小ザシ指数:110以上
赤身に霜降り状に入った脂(サシ)がきめ細かく均一に入った「小ザシ」は、食感が柔らかくなめらかな舌触りとなります。これまでは人の目と経験で判断していましたが、新たに、小ザシを数値化できる専用測定機を導入し、全国で初めてとなる小ザシ基準を採用しました。
・月齢:30か月齢以上
常陸牛の通常の肥育期間は28か月程度ですが、30か月以上の期間をかけてじっくり肥育することで、赤身のうま味やオレイン酸が増すだけでなく、より小ザシになりやすくなります。
・歩留(ぶどまり)等級:A等級のみ
牛枝肉取引規格のうち歩留等級は、枝肉からとれる、肉量の高い順にA、B、Cに格付けされます。通常の常陸牛ではB等級以上を基準としていますが、A等級のみを認定します。
・オレイン酸比率:55%以上
オリーブオイルの主成分であるオレイン酸は、融点が13℃と低いため、風味や口溶けがよく、風味の良さがジューシーさを生み出し、肉汁と融合することで、和牛本来のうま味や香りを増強させる効果が期待されます。
●裏付けされたおいしさ
検討委員でもある帯広畜産大学の口田(くちだ)教授は、「多くの研究成果により、『オレイン酸』が牛肉の食味性と関係していることが分かってきており、オレイン酸が多い牛肉は口溶けが良く、ジューシーな食感になります。また赤身に脂肪が細かく均一に入った『小ザシ』の牛肉は、食感が柔らかくなるだけでなく、霜降りの美しさが見た目にも好まれます。これらの特長は、和牛の新たな価値の創出につながるでしょう」と、「常陸牛煌」のブランド基準について評価しています。
●ブランド化に向けて
昨年8月には、東京都港区の八芳園(はっぽうえん)において、メディア向け発表会を開催し、大井川知事がブランド誕生の経緯や肉質の特長などを紹介しました。
試食したタレントの筧美和子(かけいみわこ)さんからは「唇に触れた瞬間からとろけて、脂の感じがとてもクリア」とおいしさに太鼓判が押され、テレビを含む多くのメディアに取り上げられるなど、関心の高さがうかがえました。
今後もメディアへの情報発信とともに、生産の安定化と販路の拡大に努め、「常陸牛煌」のブランド確立を目指していきます。
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