■入試の女子枠は何のためにあるの?
▽「女子枠」について
「さまざまなバックグラウンドを持つ人がぶつかり合うことでイノベーションは生まれる」と考えられている中、近年、大学において一部の理工学部では、入試において「女子枠」を設け女子学生に入学してもらおう、といった動きが広がっています。
「女子枠」の入試は、その大学に入学することへの意欲が問われる「総合型選抜」や、学校の成績重視の「学校推薦型選抜」にて設けられています。一方、募集枠の9割ほどの学生を選抜する、学力重視の筆記試験である「一般選抜」では、男子も女子も基準点に変更はありません。
▽「女子枠」導入における背景
こういった動きがある背景には、理工学部の女子学生の比率が関係しています。文部科学省の調査によると、令和4年度の全国の大学において、各学部に属する学部生のうち女子学生の比率について、理学部は27.8%、工学部は15.8%となっており、ほかの分野と比べても低い割合となっていることがわかります。
また、2021年にOECD(経済協力開発機構)が、加盟各国の大学など高等教育機関の卒業・修了生に占める女性の割合を調査した結果によると、日本はOECD平均を大きく下回っていることがわかりました。「自然科学・科学・統計学の分野」ではOECD平均52%に対し、日本は27%、「工学・製造・建築の分野」ではOECD平均27%に対し、日本は16%となっており、いずれも加盟38か国中、最下位というデータが出ています。
▽多様な学生が学びあう環境づくり
このような状況を受け、文部科学省では令和6年度大学入学選抜実施要項において「多様な背景を持った者を対象とする選抜」など入試方法を工夫することが望ましいとし、例として「理工系分野における女子等」を挙げています。しかし、「女子枠」の導入については、賛成の意見ばかりではありません。各大学が女子枠を導入する際には、導入の意義と性差別にならないことの合理的な説明が必要となり、社会の理解を得る必要があります。我が国での理工学分野でのジェンダーバランスはまだ道半ばですが、理工系分野における女子の進学を積極的に支援することによって、多くの視点や感性を取り入れ、新しい感性のもとでのイノベーション創出が促進されていくのです。
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