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自治体の皆さまへ

【特集】みんなで取り組む流域治水 1

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茨城県古河市

近年、気候変動の影響で局地的な大雨の発生頻度や都市化による雨水の流出量が増加し、以前よりも浸水被害の危険性が高まっています。過去には市内でも、大雨や台風の影響で床上・床下浸水や道路冠水等の被害が発生しました。
国は各地で起きた被害を受けて、「流域治水」の取り組みを推進しています。流域治水とは、水害を減らすため、行政や地域住民など河川流域全体で対策を行うことです。取り組みを進めるための3つの柱として(1)氾濫をできるだけ防ぐ・減らすための対策(2)被害対象を減少させるための対策(3)被害の軽減、早期復旧・復興のための対策を、ハード・ソフトの両面一体で多層的に進めることを掲げています。
古河市は利根川や渡良瀬川といった大河川に接しているため、大雨や台風による洪水被害に遭う危険性についても、常に考えておかなければなりません。流域治水には河川の対策だけでなく、堤防で守られた居住域側にたまる雨水(内水)への対策も含まれます。内水による被害には道路の冠水や建物への浸水などがあり、私たちの身近で起こり得る問題です。
被害を少しでも減らすため、この機会に市内各地で行われている対策を知り、流域治水について一緒に取り組んでみませんか。

■古河市の内水対策基本方針〈市の取り組み〉
市では、昨年2月に「内水対策基本方針」を策定しました。この基本方針では、行政・市民・事業者などの協働による内水氾濫への取り組みの方向性を示しています。引き続き、市内全域における浸水被害の軽減を図っていきます。
内水氾濫:市街地に降った雨が、下水道や排水路の排水処理能力を超えてあふれ出し、建物や道路などが浸水してしまうこと

◇4つの方針と取り組み
(1)公共施設などを整備する際の対策
雨水が直接河川などに流出することを防ぐため、透水性の高い道路の整備等を進めます。
(2)雨水流出抑制機能の維持
雨水流出抑制施設の機能と安全性を保つため、水路や施設の定期点検や清掃・補修を行います。
(3)市民・事業者との連携による対策
雨水流出抑制施設や止水板、土のう、田んぼダムの設置を促進します。
(4)大河川水害への対応の向上
早めの避難を促すためにマイ・タイムライン(避難行動計画)の作成を推進します。

◇Intterviiew
『住民の安全な生活のために』
五県連合利根川上流改修促進期成同盟会 事務局 坂田義彦さん
昭和23年の結成以来、利根川上流の水防や利水・治水のための要望活動をしており、内容はダム建設や治水事業の促進などさまざまです。令和2年度には、長年の要望がかない八ッ場(やんば)ダムが完成。このダムは、利根川下流部への洪水調節や水道・工業用水の補給、流水の機能維持などを目的にしたもので、完成までに70年以上かかりました。
また渡良瀬遊水地においても、湿地再生と治水機能強化につながる掘削や、掘削土を利用した周辺河川の堤防整備等を要望しています。これは令和元年東日本台風で、遊水地の貯水能力の9割を超える過去最高の貯水量を記録したことを踏まえたものです。渡良瀬遊水地の豊かな自然を保ちながら、安全な環境を整備するには課題もありますが、流域に住む皆さんが安心して暮らせるよう、今後も各機関と調整していきます。

・五県連合利根川上流改修促進期成同盟会とは
茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉県にある29の市町村や25の関係団体で構成されており、昨年の8月からは古河市長が会長を務めています。

問合せ:(三)道路河川課
【電話】76-1511

■利根川上流河川事務所の取り組み〈国の取り組み〉
・利根川上流河川事務所は、群馬県伊勢崎市から茨城県取手市までの利根川本川と渡良瀬川などの支川を合わせた143.9キロメートルの区間を管理・整備しています。
・利根川の管理区間38カ所にはカメラが設置されており、河川の状況がリアルタイムで確認できます。現地に行かずに河川の増水状況を把握できます。
・排水ポンプ車や照明車などの災害対策用車両も配備しており、災害時の対応と速やかな復旧に備えています。
・利根川左岸の中田新田地先では、洪水から地域を守るため、堤防のかさ上げと拡幅工事を行っています。

◇Intterviiew
利根川上流河川事務所 事務所長 飯野光則さん
私たちは河川流域で生活する人の安全を守るため、堤防整備や渡良瀬遊水地の管理等をしています。
現在、中田新田地先で堤防のかさ上げや断面の拡幅工事を進めており、計画どおりの進捗状況です。しかし最近は、気候変動の影響で想定を超える降水量となっており、減災のためには皆さんの協力が欠かせません。自分たちが住んでいる地域にどのような危険があるのかを再確認し、避難経路の確認や備蓄を行うなど、日頃から水害に備えることが大切です。
渡良瀬遊水地は治水の役割があるほか、国際的に重要な湿地でもあります。また貴重な動植物が生息しているため、環境の保全が大切です。例年行っている渡良瀬遊水地クリーン作戦では、古河市からの参加者が1番多く、今年は1350人。遊水地に対する関心の高さを肌で感じました。これからも地域の皆さんの期待を念頭に置き、しっかりと管理をしていきたいと思います。

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