今月号では、さくらがわ地域医療センター整形外科の大島博医師が、骨粗しょう症の早期発見などのお役立ち情報をお届けします。
さくらがわ地域医療センター/整形外科 大島 博(おおしま ひろし)医師
日本整形外科学会専門医、日本骨粗鬆症学会認定医(評議員)、JAXA(宇宙航空研究開発機構)で宇宙飛行士の骨量減少対策・運動プログラムを担当。
◆平均寿命と健康寿命
現在、100歳以上の高齢者は全国で約9万2,000人、中には100歳を超えて元気に生活をされている方もいます。
日本人の平均寿命は男性81歳・女性87歳、健康寿命(日常生活が制限なく生活できる期間)は男性72歳、女性75歳で、世界第1位です。
平均寿命と健康寿命の差の約10年間は「健康上の問題を抱え、要支援・要介護」となる場合が多いので、健康寿命を延ばすことが重要です。
◆骨粗しょう症とは
要介護となる原因の約3割を、運動器障害(転倒・骨折など)が占めています。
骨粗しょう症は「骨が弱く、骨折しやすくなる」病気で、背中が丸くなる・身長が縮むといった症状が徐々に進行します。また、尻もちをついたり、重い物を持ち上げた際に、腰椎圧迫骨折(けいついあっぱくこっせつ)を起こしたり、大腿骨(だいたいこつ)を骨折して歩行困難で寝たきりになった場合、手術が必要となります。
骨粗しょう症の主な原因は「加齢」と「閉経」です。女性では、60代の5人に1人、70代の3人に1人、80代の2人に1人が骨粗しょう症と言われていますが、骨密度検査を受けず、自覚のない人が多いことが問題です。
◆骨粗しょう症の早期発見
ご自宅でできるワン・ツーチェックをご紹介します。
◇骨粗しょう症 ワン・ツーチェック
壁に体をつけて立ってみましょう
チェック(1) 背中の曲がりをチェック
壁に体をつけた状態で後頭部を壁につけられない場合は、背骨の圧迫骨折によって背中が曲がってしまっている可能性があります。
チェック(2) 身長が縮んでいるかチェック
身長を測ったとき、若い頃と比べて身長が2cm以上低くなっている場合は、背骨の圧迫骨折が起こっている可能性があります。
いずれかに当てはまる場合は、骨粗しょう症の可能性があります。
骨粗しょう症は自覚症状がないことが多く、骨が折れるまで気付きにくいので、定期検査で骨の状態を確認することが重要です。
骨粗しょう症の早期発見と予防対策のため、まずは、当院整形外科外来での受診をお勧めします。
■骨粗しょう症検診助成
市では今年度、40歳、45歳、50歳、55歳、60歳、65歳、70歳の女性を対象に骨粗しょう症検診の助成を行っています。
対象の方は、500円で精密な検査を受けることができ、正確な骨量を計測することができます。ハガキが届いたら忘れずに受診しましょう。
詳しくは、ホームページをご確認ください。
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